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家族愛のサンバ・アルバム イヴォール・ランセロッチ [ブラジル]

Ivor Lancellotti  BOLERO ETERNO.JPG   Ivor Lancellotti  EM BOAS E MAIS COMPANHIAS.JPG

イヴォール・ランセロッチの新作? こりゃまたずいぶんと久しぶりですね。
イヴォール・ランセロッチは、40年近く裏方で活動してきた、リオ下町のサンバ作家。
ぼくがイヴォールの名を初めて意識したのは、デルシオ・カルヴァーリョの87年のアルバム
“AMAR É SOFRER” のプロデューサーとしてでした。
イヴォールはデルシオ・カルヴァーリョはじめ、パウロ・セザール・ピニェイロや
ジョアン・ノゲイラなどとも共作して、数多くのサンバを書いた人なんですけど、
いまではブラジル新世代の旗手ドメニコのお父さんといった方が、通りがいいかもしれませんね。

イヴォールが98年にリリースした、ボレーロを中心にサンバ・カンソーンなどを歌った
自作自演の自主制作盤は、ずいぶん愛聴したなあ。
あのアルバムは、息子のドメニコとモレーノ・ヴェローゾがプロデュースしたんでしたね。
ダニエル・ジョビンやルイス・アルヴィスも参加した、なかなか贅沢なレコーディングで、
インディ制作とはいえ、丁寧なプロダクションが施された隠れた名作といえます。
その証拠に、翌99年ダブリウがジャケットを変えて再発したうえ、
2004年に『永遠のボレロ』のタイトルで、日本盤まで出たくらいですからね。

イヴォールの歌いぶりはまことに頼りなく、その歌唱力はど素人並みと言わざるを得ませんが、
そのとつとつとした歌いぶりが胸に沁みるのは、
手のひらに零れ落ちる涙のしずくを、スロー・モーションで見るようなメロディーのきらめきゆえ。
イヴォールは、地味ながら泣きのある佳曲を書く人なんですけれど、
ところどころにハッとさせられるような、きらりと光るメロディーが出てきて、
その作風にはちょっと忘れられない味があります。

13年ぶりとなった新作ではだいぶ声も枯れてしまっていますが、
テレーザ・クリスチーナ、ペドロ・ミランダ、モイゼイス・マルケスなど多くの若いゲスト歌手が
イヴォールと一緒に歌って、華を添えています。
息子ドメニコとの共作曲ではドメニコとともに歌っているほか、
ドメニコの弟アルヴィーニョとも1曲共作して、一緒に歌っています。
アルバムの音楽監督に<ランセロッチ一家>とクレジットされているとおり、
家族愛にあふれたサンバ・アルバムとなっているのでした。

Ivor Lancellotti "BOLERO ETERNO" no label no numer (1998)
Ivor Lancellotti "EM BOAS E MAIS COMPANHIAS" Dubas 60252770669 (2011)
コメント(2) 

コメント 2

土木作業員

ほんとロマン感じる、いい曲書きますよね。歌い継がれるべき名曲の趣があると思いますよ。男の切ないキモチをかきむしる歌声もたまりませんよ。大好きです。と言いつつ、新作、ジャケットの佇まいに随分と年取ったなぁと思って、買うのやめましたが、初心完徹、買いにゆこう。
by 土木作業員 (2011-11-25 20:46) 

bunboni

うん。ほんとイヴォールのサンバにはロマンがありますね。土木さん、いいこと言うなあ。
by bunboni (2011-11-25 21:15) 

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