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規格外の天才ギタリスト レニー・ブロー [北アメリカ]

Lenny Breau  THE HALLMARK SESSIONS.JPG

もったいない才能だったとつくづく思います。

ひさしぶりにレニー・ブローの20歳の時のセッション・アルバム
“THE HALLMARK SESSIONS” を聴いているんですけど、
これほどのギタリストが、生前その才能に見合った評価を受けることもなく、
ほとんど注目されないまま非業の死を遂げてしまったのだから、残念というほかありません。

このアルバムは61年11月28日に行われた、
レニーにとってプロ初のレコーディングとなったカナダ、トロントでのセッション。
40数年もお蔵入りとなっていて、03年にようやく陽の目を見たんですけど、
この未発表セッションを聴いた時は、ほんとにドギモを抜かれました。
デビュー作を出す7年も前に、レニーはすでに独自のギター・テクニックを完成しており、
規格外の天才ギタリストぶりをいかんなく発揮していたのですから。

レニーは、タル・ファーロウやレス・ポールに影響された
ダイナミックなフレーズの組み立てを得意とするギタリストで、
それだけでも十分に高い技量を示しているのですが、さらにタッピング奏法を駆使して、
凄まじいスピードで独創的な高速ラインを弾きまくります。
タッピング奏法といえば、80年代半ばのスタンリー・ジョーダンの出現でもてはやされましたけど、
四半世紀も前にすでにレニーが完成されたテクニックを披露していたのだから、驚愕です。

いまでこそ両手タップのギタリストなど珍しくもありませんが、
60年代当時にこんな人がいたこと自体がびっくりで、
のちのスタンリー・ジョーダンのもてはやされようを考えれば、
つくづく出てきた時代を間違えたとしかいいようがありません。
ポスト・フリーの時代には、こうした才能をアピールするシーンは存在しませんでしたからねぇ。

レニーがユニークだったのは、超絶のタッピング奏法ばかりでなく、
チェット・アトキンスに影響されたカントリー・スタイルの
フィンガー・ピッキング・スタイルのギターや、フラメンコ・ギターまで弾けたこと。
アルバム中盤に出てくるマール・トラヴィス作のラグタイム・ナンバーや、
フラメンコ・ギタリスト、サビーカス作の本格的なフラメンコ・ギター・ソロも収録されていて、
その幅広い才能が凡百のジャズ・ギタリストの域をはるかに越えているのは、一聴瞭然です。

さらなるこのセッションの驚きは、レニー・ブロー・トリオのメンバーが、
なんと、ザ・バンドのリック・ダンコとリヴォン・ヘルムだということ。
ザ・バンドのデビュー前に、二人がこんなストレイト・アヘッドなジャズを演奏していたなんて、
ザ・バンド・ファンのぼくも、まったく知りませんでした。
もっともこのセッションは、徹頭徹尾レニー一人がギターを弾きまくっているので、
二人はおとなしくバックをつけてるだけなんですけども。

若き天才ジャズ・ギタリストの破格のプレイは、
何度聴いてみても、いったいどうやって弾いてるのやら見当もつきません。
映像は残ってないんでしょうか。

Lenny Breau "THE HALLMARK SESSIONS" Art of Life AL1007-2
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