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クールなサンバ・カンソーン マリア・クレウザ [ブラジル]

マリア・クレウザといえば、70年代のサンバ・ブームを体験した人には忘れがたい、
美人サンバ・カンソーン歌手。
79年、世界歌謡祭出演のためアントニオ・カルロス&ジョカフィとともに来日し、
六本木ピットインで一夜限りのライヴをやってくれたんですよねえ。
会場には、マリアをひと目見ようと押しかけた男性ファンで満杯となり、
マリアが登場すると、「ほぉっ♡♡♡」という男臭いタメ息があふれかえったものでした。

マリア・クレウザはこの来日時がまさに絶頂期でした。
彼女が70年代ブラジルRCAに残したアルバムは、
73年の『リオの黒バラ』から77年の『真夜中のマリア』まで、傑作揃いです。

Eu Disse Adeus.JPG   Te Dije Adios.JPG

アルゼンチン、トローバから移籍後のリリース第1作“EU DISSE ADEUS” は、
『リオの黒バラ』という秀逸な邦題で日本盤が出ました。
クリスタル・グラスのように繊細なサンバ・カンソーンを歌う、
マリアの個性が完成した名盤で、
アルゼンチンでは“TE DIJE ADIOS” のタイトルでリリースされました。

もう何百回聴いたかわからないアルバムですけれど、
2000年のペネロペ・クルースの主演映画“WOMAN ON TOP” で
本作収録のサンバ・メドレーが流れてきた時は、
思わず映画館の席を乗り出してしまいました。
このアルバムは2イン1CDでリイシューされたものの、
いまだ単独CD化が実現していません。
ぜひきちんとした形でCD化をお願いしたいものです。

Sessao Nostalgia.JPG
Sesion Nostalgia Ar.JPG   Sesion Nostalgia_Uruguay.JPG

RCA第2作の“SESSÃO NOSTALGIA”(邦題『哀しみのノスタルジア』)は、
いまだブラジルでは未CD化。
南米各国盤では、黒地のアルゼンチン盤に朱地のウルグアイ盤があります。

En Vivo.JPG   E Os Grandes Mestres Do Samba.JPG

“EN VIVO” はアルゼンチンのみでリリースされたアルゼンチン・ライヴ盤。
ジャケットは魅力的ですが、ひと昔前のボサ・ノーヴァ歌手みたいな選曲センスが難で、
これじゃブラジルで発売されなかったのも、無理ありません。
“E OS GRANDES MESTRES DO SAMBA”(邦題『夜明けのサンバ』)は、
カルトーラやネルソン・カヴァキーニョなど、サンビスタのレパートリーを歌った異色作。
可憐なマリアの歌声によるサンバというのがまた妙味で、
ファンの間で愛されたアルバムです。
サンバは初めてという人に、最初に薦めるのにも格好の内容で、
このアルバムからサンバ・ファンになった人が、ぼくの周りには大勢います。
これまた未CD化というのは、ほんっと、けしからんですよね(力こぶ)。

Meia Noite.JPG

そして、リアルタイムの新作として聴いたのが、『真夜中のマリア』こと“MEIA NOITE”。
間違いなく1000回以上は聴いた溺愛聴盤であります。
いまだに1曲目のイントロのギターが流れてきた途端、背中がぞくぞくするもんねぇ。
本作はブラジルRCA100周年記念リイシュー・シリーズでCD化されましたが、
タイトルの‘MEIA’ と‘NOITE’ の間にハイフンが入るという変更がありました。
アルゼンチン盤のほか、ジャケット写真を差し替えたチリ盤もあります。

Medianoche.JPG   Medianoche Chile.JPG

これ以降のアルバムではボレーロぽい曲が増え、
それまで抑制されていた妖艶さが強調され、イヤらしくなってしまいます。
マリアのクールな甘さの中にある穏やかな温かみがもっとも発揮されたのは、
やはり73~77年の5年間だったことは間違いないでしょう。

Apolo 11.JPG

透明感のあるクールなマリアの持ち味は、
まだ彼女がバイーアで歌っていた頃からの資質で、
幻のデビュー作として有名なJS盤“APOLO 11” のういういしい歌声の中にも、
すでに表れていました。
かつてJS音源を復刻したコンピCDに、
“APOLO 11” の1曲が収録されたことがありましたけど、
このデビュー作の完全復刻もぜひ期待したいところ。
ジスコベルタス、やってくれないかな?

[LP] Maria Creuza "EU DISSE ADEUS" RCA 103.0077 (1973)
[LP] Maria Creuza "TE DIJE ADIOS" RCA Argentina AVS4206 (1973)
[LP] Maria Creuza "SESSÃO NOSTALGIA" RCA 110.0004 (1974)
[LP] Maria Creuza "SESIÓN NOSTALGIA" RCA Argentina AVS4298
[LP] Maria Creuza "SESION NOSTALGIA" RCA Urguay 991.0386
[LP] Maria Creuza "EN VIVO" RCA Argentina AVS4248 (1974)
[LP] Maria Creuza "E OS GRANDES MESTRES DO SAMBA" RCA 103.0156 (1975)
[LP] Maria Creuza "MEIA NOITE" RCA 110.0014 (1977)
[LP] Maria Creuza "MEDIANOCHE" RCA Argentina AVSL4495 (1977)
[LP] Maria Creuza "MEDIANOCHE" RCA Chile 110.0014 (1977)
[LP] Maria Creusa "APOLO 11" JS JLP9004 (1969)
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