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エチオピアのズンドコ節 アムサル・ミティケ [東アフリカ]

Amsal Mitike  ABEREREGN.JPG

メルボルンのデレブ・ジ・アンバサダーやジュネーブのインペリアル・タイガー・オーケストラなど、
エチオピア国外でエチオピア音楽が盛り上がっているものの、
肝心のエチオピア国内や在外エチオピア人コミュニティのシーンが
沈滞気味なのはどうしたことでしょうか。

特にそれを感じるのは、在外エチオピアン・ポップの中核、ナホン・レーベルの低迷ぶり。
コンスタントに新作リリースは続いているものの、
出すアルバム出すアルバム、どれもおんなじ金太郎飴式プロダクションなのにはうんざり。
これじゃあ新作が出ても、積極的に聞こうって気になれません。
打ち込み中心のチープなプロダクションでも、それなりの工夫をしているのならまだしも、
主役の歌手が変わる以外、なんの違いもないアルバムづくりを続けてるんじゃ、救いがたいですね。

これって、80年代のブラジルでパゴージがブームになった時と、まったく同じです。
パゴージは、サンバの伴奏を均一化したことによって、
ニュアンス豊かな演奏を、平板かつ無機質で味気ないものに変えてしまいました。
ナホンが勢いづく前の90年代、AITレーベルが活躍していた時代は、
アバガス・キブレワーク・シオタなどの優秀なアレンジャーが、
低予算のプロダクションでも工夫を凝らしたアルバムづくりをしていましたが、
ナホンにはシオタのような音楽監督にあたる人物がいないんでしょう。

そんなわけで、ここ数年ナホンの新作のチェックを怠ったままだったんですけど、
久しぶりに手を伸ばした近作の中に、キラリと光るアルバムを発見しました。
アーティスト名もタイトルもアムハラ文字しか書かれていないという、
ギリシャ盤をホウフツとさせる部外者相手せずのヴィジュアル。
この見てくれなら、アズマリ系の伝統派歌手のアルバムかなと思ったら、アタリでした。

大地を踏みしめるような、ハチロクの逞しい低音のビートを強調し、
いつものナホンの軽い音づくりと趣を異にしているところが好感大。
打ち込みを中心としつつも、マシンコやクラールなど伝統楽器の響きを巧みに活かし、
エチオピアのズンドコ節とでも呼びたい民謡アルバムに仕上がっていて、これならオッケーですね。

主役の女性歌手アムサル・ミティケのドスコイなこぶし回しもヴァイタルで、
気風のよい歌いぶりが胸をすきます。
少し前に話題となったゲネット・マーシレシャを気に入った人には、絶好でしょう。
残念ながら、ほかに聴いたナホンの近作は、どれもあいかわらずの金太郎飴プロダクションで、
ゆいいつこのアムサル・ミティケだけが拾いものでした。

Amsal Mitike "ABEREREGN" Nahom NR8335 (2009)
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