フェラ・クティのナイジェリア・オリジナル盤あれこれ [西アフリカ]
ニュー・ヨークのニッティング・ファクトリー・レコーズから、
突然メールが舞い込んだのが、二週間くらい前のこと。
フェラ・クティのLPボックス・セットを制作しているとのことで、
オリジナル盤の所有者に、レーベルのスキャン・データの提供をお願いして回っているらしく、
ぼくのところには71年のアルバム“NA POI” のレーベルのリクエストがやってきました。
よござんすよと、レコード両面をスキャンして送ってあげたら、
お礼にとリリースされたばかりのフェラの86年未発表ライヴCD3枚組を送ってくれました。
86年というと、不当嫌疑によるフェラの収監に国際的な批判が高まり、
ようやく釈放されて活動再開した頃のものですね。
全盛期の70年代のようなエネルギーに満ち溢れたパフォーマンスとはだいぶ異なり、
フェラのシニカルなスピーチや歌いぶりが印象的なライヴです。
演奏場所がデトロイトという、フェラが非難の矛先とするアメリカ帝国主義のお膝元のせいかな。
エジプト80もジャム・バンドふうの、やや緩い演奏ぶりとなっています。
音質もかなり残念なレヴェルで、フェラの全作品を聴いているようなマニア向けアルバムですね。
ところで、ニッティング・ファクトリーからは“NA POI” しか所望されませんでしたが、
76年の“NO BREAD” のジャケットやレーベルは、誰かから提供を受けたのかなあ。
これまで海外でリイシューされたフェラのアルバムの中では、
“NO BREAD” だけがいつもナイジェリア・オリジナル仕様ではなく、
“UNNECESSARY BEGGING” のタイトルで、ジャケット・曲順を変えて出された
アメリカのエディション・マコッサ盤のヴァージョンが使われてきたんですよね。
“NO BREAD” のナイジェリア盤オリジナル・ヴァージョンでリイシューされたことは、
ビクターが98年に2イン1CDで出した1回こっきり。海外では一度もありません。
果たしてニッティング・ファクトリーが制作中のLPボックス・セットでは、どうなることでしょう。
[LP] Fela Ransome Kuti and The Africa '70 "NA POI" EMI HNLX5070 (1971)
Fela Kuti & Egypt 80 "LIVE IN DETROIT 1986" Knitting Factory KFR1028
[LP] Fela Ransome Kuti & The Africa 70 "NO BREAD" Soundsworkshop SWS(LP)1003 (1976)
2012-05-05 00:00
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