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イスト・エ・ボン マリエーニ・ジ・カストロ [ブラジル]

Mariene De Castro  TABAROINHA.JPG

メジャー・レーベルからリリースされる若手女性サンバ歌手のアルバムで、
「イスト・エ・ボン」なんて曲が取り上げられているとは、ちょっとびっくり。
そのシブい選曲だけで、これは買いだと手を伸ばしてしまいました。

「イスト・エ・ボン」は、ブラジルで初めてレコーディングされた曲。
今から110年も前の1902年、ブラジル初のレコード会社カーザ・エジソンが出したレコードです。
もちろんレコードといっても、まだ円盤じゃなくって、蝋管(シリンダー)ですけれども。
そんな記念すべき初のレコードが、当時流行していたワルツやポルカではなく、
アフロ・ブラジリアン文化が生み出したルンドゥーだというところに、
その後のブラジル・ポピュラー音楽の発展が約束されていたようなもんですね。

♪イスト・エ・ボン イスト・エ・ボン イスト・エ・ボン キエ・ドイ♪という
サビのキャッチーなメロディが印象的な「イスト・エ・ボン」は、
一度聴いたら忘れらないルンドゥーの名曲で、まさにタイトルどおり「こいつは最高」です。
シスト・バイーアが作曲したといわれていますが、曲の感じからすると
サビのパートは民謡か古謡か何かで、それにアダプトして作った曲なんじゃないですかね。

1902年のオリジナル録音を聴くと、歌手のバイアーナがピアノ伴奏で楽しげに歌っていて、
当時劇場で評判を呼んだ様子が想像できますね。
20世紀初頭のブラジルの音楽メディアといえば、
チアトロ・ダ・レヴィスタといわれる劇場の舞台音楽が主流だった時代で、
アメリカのミンストレル・ショウと同様、こんなコミカルな曲で観客を楽しませていたんでしょう。

そんな「イスト・エ・ボン」を、バイーア出身の女性サンバ歌手マリエーニ・ジ・カストロは、
トロンボーン・チューバ・ユーフォニウムの3管にアコーディオン、
さらにトーキング・ドラムのタマを加えた伴奏をバックに歌っているんですね。
平凡なサンバにアレンジするのではなく、こんなユニークな編成で
バイオーンぽくアレンジしたのは、すごく面白い試み。よくこんなアイディアを思いついたなあ。

この人の歌い方って、アルシオーネを思わせる大味なところがあって、実をいうと苦手。
5曲目や11曲目みたいな軽い歌い方で、全曲歌ってくれたら良かったんですけどね。
でも、この「イスト・エ・ボン」や、マルチーニョ・ダ・ヴィラ作曲のシランダなど、
リオとは異なるバイーアの味を打ち出したサンバのサウンドには、耳をそばだてられます。

Mariene De Castro "TABAROINHA" Universal 60252788476 (2012)
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