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清淑な歌い口 馬小倩 [東アジア]

馬小倩 「落花」.JPG

なんて淑やかな声なんでしょうか。
中国大陸の女性歌手、馬小倩(チェリー・マー)の10年作というこのアルバム、
この春知った陳潔麗(リリー・チェン)とオーヴァーラップする、
清淑な歌い口に、すっかりまいってしまいました。

偶然にもこの二人、女性民謡グループの青燕子演唱組(チンヤンツ)で
一緒に歌っていたこともあるそうです。
チェリーは他人の曲のカヴァーを得意とする、カヴァー・シンガーとのこと。
本作もオリジナル曲は2曲のみで、ほかは、陳慧嫻(プリシラ・チャン)の「千千闕歌」「夜機」、
葉倩文(サリー・イップ)の「女人的眼涙」「阿信的故事」、阿桑(アー・サン)の「一直很安静」など、
スタンダード化したラヴ・ソングばかりを歌っています。

リリー・チェンより涼しげな声で、ほんのりとした温かみを残す声がチェリーの持ち味でしょうか。
繊細でも線の細さを感じさせず、どこかおおらかな歌い口に、この人の魅力があります。
全曲しっとりとしたバラードで占めているかと思いきや、1曲だけ雰囲気を変え、
ユーモラスな浙江の民歌「採茶舞曲」を歌ったのは、なかなか気が利いています。
なんでもチェリーは浙江省の越劇一家に生まれ、歌舞の伝統的作法も子供の頃に習得したとのこと。
この曲だけさらりとこぶし使いを聞かせ、
伝統的な唱法をしっかりと身につけているところをアピールしています。

全体に音数を抑え、洗練されたサウンドのデリケイトな音づくりをしていて、
オリジナル曲では、古筝、二胡、笛などもフィーチャーし、雅かな響きも加えています。
残念なのは、ドラムスのサウンド。スネアやシンバルの音がナマっぽくて、デリカシーに欠けますね。
続編では、ぜひこういう細部にも目配りをお願いします。

馬小倩 「落花」 雨林唱片 H172 (2010)
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