百年前に残されたカリプソの夜明け ロヴィーズ・オリジナル・トリニダッド・ストリング・バンド [カリブ海]
ドイツの熊一家(あ、ベア・ファミリーのことね)といえば、
5年前のカリプソ10枚組ボックスにドギモを抜かれた記憶もまだ新しいんですけれど、
あれを買ったみなさん、ちゃんとCD聴かれました?
ぼくはざっと流し聞きしちゃっただけで、実はあんまりじっくりと聴いてないんです。
う~ん、いけませんねえ。反省して、年末年始にじっくり聴き直す計画でもたてるかな。
で、急にカリプソ・ボックスを思い出したのは、
熊一家によるカリプソ関連音源の復刻第2弾が出たから。
その中身は、ヴァイオリン奏者ロヴィー率いる、12人編成のストリング・バンドによる1912年録音。
なんと1912年ですよ! 百年前に録音されたトリニダッドのダンス音楽で、
のちにカリプソの伴奏音楽となる演奏がまとめて24曲も聴けるのだから、仰天ものです。
ロヴィーズ・ストリング・バンドはこれまでも、
ラウンダーの“CALYPSO PIONEERS 1912-1937” に1曲、
ハーレクインの“TRINIDAD 1912-1941” に2曲収録されていて耳にはしていましたけれど、
まとめて聴いてみると、カイソと呼ばれた初期のカリプソを生み出していくストリング・バンドの、
クレオール度の高さがあらためてよくわかります。
レパートリーはパセオとバルスばかりで、ベネズエラ音楽の影響大なわけなんですが、
のちのカリプソのメロディーがふんだんに出てくるばかりでなく、
マルチニークのビギンのメロディーも出てくるなど、
周辺の文化を多様に織り上げていることに気付かされます。
それにしても、このいきいきとした演奏ぶりといったら。
百年前ということを忘れる音の良さですよ。
今回のリイシュー・プロデューサーには、カリプソ・ボックスの時と同じ、
ジョン・カウリー、スティーヴ・シャピロ、ディック・スポッツウッドの
3人のカリプソ研究者が務めていて、39ページのブックレットには
詳細な解説とディスコグラフィも完備されています。
今年はトリニダッド・トバゴ独立50周年でもあり、記念となるリイシュー作といえそうです。
Lovey's Original Trinidad String Band "CALYPSO DAWN: 1912" Bear Family BCD16057AH
V.A. "CALYPSO PIONEERS 1912-1937" Rounder CD1039
V.A. "TRINIDAD 1912-1941" Harlequin HQCD16
2012-12-01 00:00
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