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クメール音楽の帝王 シン・シサモット [東南アジア]

Sinn Sisamouth  CHAMPA BATTAMBANG.JPG   Sinn Sisamouth  SROLANH PENH CHET.JPG
Sinn Sisamouth  PKA ROBOS MIT KNOM.JPG   Sinn Sisamouth  NIK OUN KROUP VAYLEAR.JPG
Sinn Sisamouth  KOMPOT KOMPOUL DOUNG CHET.JPG   Sinn Sisamouth  SDAB SO ROHUT.JPG

ワット・プノン・プロダクションのCDは、クランデン・スタジオと同じ編集盤のほか、
歌手別のリイシュー作もリリースしていて、シン・シサモット、ロ・セレイソティア、ペン・ローン、
チュン・ヴァンニャー、チュン・マライ、マオ・サレット、ソ・マットなどの単独アルバムが出ています。

クランデン・スタジオの雑多に選曲されたコンピレにはうんざりしているので、
歌手別のアルバムなら、もう少し個性のはっきりした内容になっているかと思いきや、
これまたネライのはっきりしない選曲のアルバムが多く、洋楽カヴァーもクメール歌謡もごちゃまぜ。
選曲次第で、いくらでも面白いアルバムはできるはずなのにと歯ぎしりをしていたら、
シン・シサモットは選曲意図のわかる好編集のアルバムが多く、嬉しくなってしまいました。

当時のカンボジアの大スターだったシン・シサモットは、
ほかの歌手に比べて録音量も豊富なため、
同傾向の曲でまとめやすかったということもあるんでしょうね。
やはり聴きものは、ラテンなどさまざまな洋楽の影響を受けた50~60年代録音で、
ロックに影響された70年代録音を中心にまとめたアルバムもありますが、それはパス。
タイのスラポン・ソムバッチャルンやマレイシアのP・ラムリーやサローマが活躍した、
60年代の東南アジア歌謡らしいラウンジーなナンバーに興味をそそられます。

そんな懐かしのクメール歌謡といった感じの曲を集めたのが、
“CHAMPA BATTAMBANG” や “SROLANH PENH CHET”。
ラテン・ボレーロのムードあふれる都会的なサウンドは、当時のマレイシア歌謡に劣らぬもの。
“PKA ROBOS MIT KNOM” にもチャチャチャにアレンジした曲があり、
のんびりとしたミュート・トランペットと
パーカッシヴなピアノがキレまくるサウンドは聴きものです。
ラテン歌謡サウンドにのせて、なめらかなクルーナー・ヴォイスを聞かせる
シサモットのヴォーカルも鮮やかな印象を残します。

一方、スロー・バラードを中心に抒情的なクメール歌謡を選曲した
“NIK OUN KROUP VAYLEAR” “KOMPOT KOMPOUL DOUNG CHET”
“SDAB SO ROHUT” は、タイのルーククルンのような、
夜のしじまに流れるムード曲が多く選曲されています。
ギター演歌みたいなアレンジは、明らかに日本の歌謡曲の影響がうかがえて面白いですね。
なかには洋楽を範としない、これぞクメール歌謡といった曲もあって、
それらの曲で聞かせるシサモットの柔らかなこぶし回しにウナらされます。

シン・シサモットの古い音源をまとめて聴いたおかげで、
ようやく彼がクメール音楽の帝王と呼ばれた真価を実感することができました。
これでもう少し音質が良ければと思うんですけれど、内戦ですべてが焼き尽くされ、
オリジナル録音が現存するだけでも幸運と思わなければいけないんでしょうね。

Sinn Sisamouth "CHAMPA BATTAMBANG" Wat Phnom Production no number
Sinn Sisamouth "SROLANH PENH CHET" Wat Phnom Production no number
Sinn Sisamouth "PKA ROBOS MIT KNOM" Wat Phnom Production no number
Sinn Sisamouth "NIK OUN KROUP VAYLEAR" Wat Phnom Production no number
Sinn Sisamouth "KOMPOT KOMPOUL DOUNG CHET" Wat Phnom Production no number
Sinn Sisamouth "SDAB SO ROHUT" Wat Phnom Production no number
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