レユニオンのクルーナー マキシム・ラオープ [インド洋]
レユニオンのヴィンテージ録音を復刻するタカンバから、クレオール歌謡の名歌手
マキシム・ラオープのキャリアを集大成した2枚組アルバムが、
ついにリリースされましたよ!
タカンバがリイシューしたレユニオンの名楽団、ジュール・アルランダ、ルル・ピトゥ、
クロード・ヴィン・サンの編集盤にマキシムが歌った録音が多数収録されていたので、
いずれマキシムの単独フル・アルバムも出すだろうと思ってたんですよね。
マキシム初録音の49年のSPから、89年のEPまで録音順に44曲を並べた本作は、
タカンバならではといえる、ずっしりと重みのあるCDブック仕様。
120ページに及ぶブックレットには、全曲歌詞はもちろんのこと、
解説、バイオグラフィ、ディスコグラフィが完備されており、
これぞリイシューの鑑といいたい労作です。
ディスコグラフィを見ると、マキシムの録音のほとんどはSPとEPで、
ソロLPは90年に出した1枚だけ。
このレコードは、ぼくもお目にかかったことがありません。
ぼくがマキシムを初めて知ったのは、晩年にあたる94年に出したCD“HOMMAGES” で、
アコーディオンやバンジョーの響きもノスタルジックなセガの味わいに、
いっぺんでファンになったものでした。
その後マキシムのアルバムを探し回りましたけど、
CD時代になって出した5作は、アクースティック・サウンドの“HOMMAGES” を除き、
すべてチープなシンセがメインのエレクトリックなセガばかりで、がっかりでしたね。
“HOMMAGES” に収録された曲のオリジナル録音を聴きたくても、
LP時代にも過去のSPやEPがLP化されたことはなく、
タカンバが復刻するまで、ずっと聴くことができなかったのです。
あらためて録音順に並べられたCDを聴いていくと、
シャンソン・クレオールにセガのリズムが溶け込み、
歌謡セガが成熟していくさまが手に取るようにわかりますね。
解説によれば、レユニオンの多くの流行歌手は
シングル片面でクレオール語によるセガを歌い、
もう片面でフランス語によるポップスを歌うのが常だったそうですが、
マキシムはフランス語のポップスを嫌い、レユニオンのフォークロアに根差した
クレオール・ソングを歌うことにこだわったのだそうです。
当時公衆の面前で歌うのがはばかれていたマロヤも歌い、
このCDにも<マロヤ>をタイトルに織り込んだ3曲が収録されています。
のどかなラジオ時代を思わせるほっこりとした歌ですけれど、
マキシム、気骨の人だったんですね。
レユニオンを代表するクルーナー歌手であり、セガ黄金時代を飾った
マキシムの代表曲を完全網羅した本編集作は、
クレオール歌謡の粋がぎゅっと詰まった最高作。
最近マロヤの再評価によって注目の集まるレユニオンの音楽ですけれど、
LPやCD時代には聴くことのできなかった、
レユニオン音楽がもっとも良かった時代の録音も、お聴き逃しなく。
Maxime Laope "CHAPEAU L’ARTIST!" Takamba TAKA1218
Maxime Laope "HOMMAGES" Piros CDP5209 (1994)
2013-02-15 00:00
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