オーガニック・ズークの歌姫 ロリアンヌ・ザカリィ [カリブ海]
もうそろそろ解禁してもいい頃ですかね。
マルチニークの新人女性シンガー、ロリアンヌ・ザカリィのセカンド作。
去年の暮れ、いっちばん寒さのキツイ時に買っちゃったので、
この音楽を楽しむのにふさわしい季節になるまで、聴かずにずっと取っておいたんですよ。
海辺の家の扉を、ぎぃぃと開けると、そこはカリブのまばゆい太陽がさんさんと降り注ぐ午後。
まぶしさに思わず目を閉じれば、波の音と小鳥のさえずりが聞こえてきて、強い海風が頬を撫でる。
そんなマルチニークの自然の恵みを体感できる、長めの風景音からアルバムは始まります。
アクースティックな音感を生かしたメロウなズークといった仕上がりのアルバムで、
ズーク・ラヴのプロダクションもすっかり進化したのを感じます。
<オーガニック・ズーク>と呼んだ方がいいんじゃないのっていうサウンドですね。
涼しげなアコーディオンの響きも心地よく、適度にスキマのある音づくりがいい感じ。
カリブのフォークロアらしいレイド・バック感もあって、リラックスできますよ。
ロリアンヌ・ザカリィのちょっとクセのある声がまたいいんだな。
ぼくの大好きなタニヤ・サン=ヴァルにも似た声質で、
目ぢからのあるシャープな顔立ちもタニヤを思わせます。
スローなビギンになると、今度はエディット・ルフェールを思わす
セクシーな歌いぶりを聞かせてくれ、もうドキドキですよ。
80年生まれのロリアンヌは、わずか9歳でコンテストで優勝したという歌の大好きな少女で、
歴史の先生になったあとも、歌手になる夢は捨てがたく、
マルチニークの人気アーティスト、ヴィクトール・Oに見出されて、
07年にデビュー作をリリースしたのだそう。
ヴィクトール・Oの凡庸なR&B路線より、
ロリアンヌのオーガニック・ズークの方がはるかに魅力があります。
Loriane Zacharie "AN BA SOLEY" Aztec Musique CM2344 (2012)
2013-04-10 00:00
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