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夏の宵とノスタルジア セマ [西アジア]

Sema  EKHO Ⅱ.JPG

レコードの針音ノイズで始まるアルバム、なかなか憎い演出じゃないですか。

セイヤン・ハナム、ムルシデ・ハナム、デニズ・クズ・エフタリャなど、
トルコ共和国成立後のイスタンブールで活躍した、
いにしえの女性歌手たちのレパートリーを歌った企画作。
4年前にこんなアルバムが出ていたとは、気付きませんでした。
タイトルには第2集とあり、第1集は06年に出ているみたい。そちらも聴いてみたくなりますね。

タンゴ、フォックストロット、オペレッタなど、戦前トルコ歌謡往時のスタイルのまま、
ピアノ、バンドネオン、チェロ、ヴァイオリン、クラリネット他の
室内楽の伴奏にのせて、しっとりと歌っています。
セマというこの女性歌手、見かけからしてだいぶヴェテランのよう。
ヴェテランにありがちな、癖で歌うところがないのはいいですね。
繊細かつ丁寧に歌っていて、感情を抑え目にした歌唱に好感が持てます。

オペレッタではやや演劇的な歌い回しもしますけれど、それでもケレンは感じさせません。
タンゴやオペレッタという、ぼくの苦手な部類の曲も気持ちよく聴けるのは、
セマの品の良い歌唱のおかげです。
伴奏もなかなか秘めやかで、艶やかなレトロ気分がふんわりと薫ってきて、とてもいいムード。
悩ましくも妖しいメロディが暑さ疲れの身体にじんわりと染み込んで、コリをほぐしてくれます。
夏の宵に聴くのに、うってつけの一枚ですよ。

Sema "EKHO Ⅱ : EFSANE HANIMLAR" Hammer Müzik HMCD044 (2009)
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