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東西アフリカの出会い ムラトゥ・アスタトゥケ [東アフリカ]

Mulatu Astatke  SKETCHES OF ETHIOPIA.JPG

エチオ・ジャズの巨匠ムラトゥ・アスタトゥケの新作が到着。
ありゃあ、せっかく7月に来日したのに、間に合いませんでしたねという
間の悪さではありますが、21世紀に入ってからのムラトゥの作品では、
文句なしにピカイチの内容といえます。

振り返るとムラトゥは、21世紀に入ってから世界の若手音楽家たちと
活発にコラボレートを行い、アルバム制作をしてきました。
イギリスのエクスペリメンタル・ファンク・バンドのヘリオセントリックスとセッションした
“INSPIRATION INFORMATION”(09)や、
イーザー・オーケストラやロンドンでのセッションをもとに、
アディス・アベバでオーヴァーダブして完成させた“MULATU STEPS AHEAD”(10)は、
若いクラブ系リスナーにもアピールしていましたね。

ただ、残念ながらその2作は、70年代の黄金期を知る者には満足いくものではありませんでした。
ヘリオセントリックスとのコラボは、スタジオで練り上げて作る
エチオ・ジャズとは相容れない軽いセッションだったし、
ムラトゥ御大もぱらぱらっとピアノの鍵盤を転がしているだけで、
これじゃあとても物足りません。
“MULATU STEPS AHEAD” の方は、じっくり制作されたものでしたけど、
共演者が御大に遠慮しすぎというか、先生と弟子の共演みたいで予定調和ぽく、
そのスリルのなさに、正直退屈しました。

それに比べ、今回の新作はエチオ・ジャズに新たなアイディアを取り入れ、
プレイヤーたちもムラトゥ御大に遠慮せず、のびのびと演奏しています。
冒頭からカルカベが刻むグナーワのリズムに、おっ!と引き込まれますし、
西アフリカのマンデ音楽とミックスしたのは、初の試みじゃないでしょうか。
クラールとゲストのコラが交叉して、東西アフリカの弦が響き合うところは聴きもので、
マリのファトゥマタ・ジャワラをゲストに迎えた曲も新鮮です。

タイトルがマイルズとギルの『スケッチ・オヴ・スペイン』を想起させますが、
まさにあのアルバムをイメージさせる映像的な“Motherland Abay” では、
ムラトゥらしい作編曲のペンが冴えています。
ゆいいつの難は、ヴォーカルに起用したテスファイェという男。
2曲目のがなり声には、思わず耳を覆いましたよ。
エチオピアにはうまい歌手がゴマンといるのに、なんでこんなヤツを起用したんでしょ(泣)。

Mulatu Astatke "SKETCHES OF ETHIOPIA" Jazz Village JV570015 (2013)
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