トゥアレグ女性に捧ぐ タミクレスト [西アフリカ]
ティナリウェン・フォロワーでぼくが一押しのバンド、タミクレストの新作が届きました。
トゥアレグの少女のポートレイトをジャケットにした本作、
毎回タミクレストのジャケットには訴求力があって、そこにも惹かれるんですよね。
歌手兼ギタリストでリーダーのウスマン・アグ・モサのソングライティング力は、
やはり抜きん出ていますね。
多くのデザート・ブルース・バンドのアルバムが、
似たり寄ったりの曲が並んで単調になりがちになるところ、
ヴァリエーション豊かな曲にのせて、トゥアレグの深い情念と哀切を表現しています。
ロックやレゲエのリズムが借り物でなく、しっかりと咀嚼されているところが頼もしい。
タミクレストくらい、砂漠の生活をリアリスティックに伝えてくれるロック・バンドは他にありません。
トランスを呼び覚ますループするフレーズや、虚無的なメロディのインスト・ナンバーなどに、
他のバンドにはない個性を聴くことができます。
リズム・ギター担当とコーラスの女性一人が抜けましたが、内容はほぼ前作を踏襲。
前作でゲスト参加していたオルガンも、今回は不在です。
華やかなユーユーなども抑え気味で、よりディープになったともいえる今作、
ぐっと内面的になったニュアンスの曲が多く、スライド・ギターが幻想的な効果を上げています。
レコーディングはマリではなく、チェコで行われています。
タイトルは「シスターズ」を意味し、トゥアレグ女性に捧げたアルバムとのこと。
マリ北部で続く内戦を憂うウスマヌの思いが、そこにはこめられているようです。
Tamikrest "CHATMA" Glitterbeat GBCD007 (2013)
2013-09-23 00:00
コメント(0)
コメント 0