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リンディー・ホップのリヴァイヴァル チュー・チュー・パニーニ [西・中央ヨーロッパ]

Choo Choo Panini.JPG

秋の宵にぴったりの、小粋なアクースティック・スウィングです。

チュー・チュー・パニーニは、ドイツ人女性歌手のネリー・コースターと、
ギター、トランペット、トロンボーン、チューバを演奏する
ポーランド人のラディック・フェイドクによるユニット。
サポート・メンバーに、ローマン・バビックのピアノ、ニールス・エムフォーストのベース、
パトリック・フリングストのドラムスが加わり、クインテット編成で演奏しています。
こんな音楽をやっているグループが、アメリカのオースティンとかじゃなくて、
ドイツから出てくるのが面白いですね。

魅力はなんといっても、ネリー嬢のレイジーなヴォーカル。
ダルなムードを醸し出す雰囲気たっぷりの歌いっぷりが、いいですねえ。
学校でジャズ・ヴォーカルを習ったような人じゃ、こうはいきませんよ。
昔のマリア・マルダーやマリアン・プライス
(元ダン・ヒックスとホット・リックス)を思い出すチャーミングな歌の表情は、
ジャズ・プロパーでないことをはっきり示しています。

演奏の方も、スウィンギーなギターに、多重録音したトロンボーン、チューバなど、
オールド・タイミーなスウィング・ジャズを気持ちよくやっていて、
心ウキウキ、なんともいい気分にさせてくれます。
ジャケットには「リンディー・ホップ・アプルーヴド」と書かれていて、
どうやらこの連中、20年代のニュー・ヨークのハーレムから生まれたダンス・ステップ、
リンディー・ホップの再興をネラっているようですね。

リンディー・ホップは、20年代にチャールストンから発展して生まれた、
即興性の強いスウィング・ダンスで、男性が女性を左に右に大きく振りながら、
ダイナミックにダンスするもの。30年代にはジッターバッグに取って代わられますが、
その影響力は世界中に広がるほど大きく、南アの大衆音楽マラービのジャイヴ感覚も、
リンディー・ホップのダンスが育てたものでした。

クラブ・ミュージックやカフェ・ミュージック・ブームのはざまに生まれた、
エレクトロ・スウィングの落とし子ともいえるグループが、
リンディー・ホップをリヴァイヴァルしようとする小粋な試みは、
凡百の大味なエレクトロ・スウィングとは一線を画すもの。支持したいですね。

Choo Choo Panini "MOON RAY" 5678 no number (2011)
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