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チル・アウトするンビーラ音楽 コスマス・マガヤ&ボーラー・ジョコ [南部アフリカ]

Cosmas Magaya & Beauler Dyoko  Ndangariro.jpg

ぼくにとって思い出深いンビーラ奏者、コスマス・マガヤの新作が出ました。
コスマスと以前にも共演していた女性ンビーラ奏者アンブヤ・ボーラー・ジョコとのデュオ作で、
ライナーを読むと、13年に亡くなったアンブヤの追悼作でもあるようです。

コスマス・マガヤは、音楽学者のポール・バーリナーが
独立前のジンバブウェでフィールド録音した“THE SOUL OF MBIRA” と、
スタジオ録音の“SHONA MBIRA MUSIC” の2作に参加したヴェテランのンビーラ奏者。
まだアフリカ音楽を聴き始めの高校生の頃に出会ったレコードだったので、
歴史的名作“THE AFRICAN MBIRA” のドゥミサニ・マライレとともに、
コスマス・マガヤの名前は、すぐさまぼくの脳裏に刻まれました。

2台のンビーラ合奏とホショが生み出す精緻なポリリズムは幻惑的で、
コスマスの演奏を聴いていると、心が落ち着くだけでなく、
精神が治癒されるような深い満足感を得られます。
こうしたコスマスやドゥミサニたちの世代のンビーラ演奏は、
最近の若手ンビーラ奏者たちのリズム感と、だいぶ感覚に差があるような気がしますね。

コスマスやドゥミサニたちの演奏は、12/8拍子のベーシックなリズムを、
2台のンビーラが1拍ずつずらしながら弾くことで生まれる
ポリリズミックな「ズレ」に特徴がありましたけれど、
最近の若手は合奏によるグルーヴを強調しているように思えます。

コスマスやドゥミサニたちの方が「テクノ」ぽかったというか、
ンビーラのキーをハジく音がメトロノームのように正確で、無機質でクールな感覚がありました。
シャカシャカ振られるホショのずれたポリリズムが、チル・アウトする感覚を呼び覚まし、
むしろグルーヴを拒否するリズム感こそが魅力だったように思います。

Cosmas Magaya Anoyimba.jpg   Cosmas Magaya and Beauler Dyoko  AFAMBA APOTA.jpg

コスマスはアメリカに渡り、学生にンビーラを教える一方、自主制作のCDも出していました。
01年のソロ作や00年のアンブヤ・ボーラー・ジョコとの共演作は、ホームメイドCD-Rでしたが、
新作は印刷されたデジパック仕様のちゃんとしたCD。
ショナの伝統唱法を駆使したアンブヤのヴォーカルもパワフルで、ホレボレとします。
叫ぶように歌う声の強さが圧巻で、こういう歌い方ができる人は、今のジンバブウェには
もういないんじゃないでしょうか。亡くなられたのが、残念でなりません。

Cosmas Magaya and Beauler Dyoko "NDANGARIRO" Kutsinhira Cultural Arts Center no number (2014)
Cosmas Magaya "ANOYIMBA" no label MMB12224 (2001)
Cosmas Magaya and Beauler Dyoko "AFAMBA APOTA" no label MMB12223 (2000)
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