マルカヒーさんちの父娘 ルイーズ・マルカヒー、ミック・マルカヒー [ブリテン諸島]
フルートを手にした見目麗しい女性が、にっこり微笑むジャケット。
オール・アイルランド・コンペティションの常連さんだという、
ルイーズ・マルカヒーのデビュー作です。
これまでに、アコーディオン奏者のお父さんとハープ、ピアノ、フィドルを弾く妹とともに、
マルカヒー・ファミリー名義でアルバムを出していて、本作は満を持してのソロ・デビューでしょうか。
ルイーズはフルートのほか、イーリアン・パイプスやホイッスルも吹いているんですが、
どの楽器も音色は確かだし、リズムもしっかりしています。
伴奏を務めるのは、ピアノとアイリッシュ・ハープを弾く妹のミッシェルと、
バウロンのカラム・マーフィーのたった二人。
この二人を相手に、1対1で弾くデュオ演奏とソロ演奏だけでアルバム1枚仕上げるとは、
見上げたもんです。いかにルイーズの技量が高いか、わかろうというものですね。
派手さを抑えた抑制の効いたプレイに感心してしまうんですが、
ルイーズの職人肌ともいえる古いプレイ・スタイルは、ゴリゴリの伝統派の証しですね。
こんな頑固一徹な伝統スタイルの演奏が身に付いているのは、
伝説的存在と言われるアコーディオン奏者ミック・マルカヒーを父に持つゆえでしょう。
ミック・マルカヒーは、アコーディオンを革新した名手ジョー・クーリーを範とする演奏家で、
68年にアコーディオンの最優秀演奏家に選ばれたばかりでなく、
生まれ故郷のブロスナ・ケイリー・バンドのメンバーの一員として、
72年のオール・アイルランドのケイリー・バンド部門でも優勝をしています。
現在は娘たちとの演奏活動のほか、
アコーディオンの先生としてダブリンでひっぱりだこだとか。
76年のミック一人による完全独奏のアルバムでも、
ジョー・クーリーの影響大な、古いメロディオン・スタイルの演奏を聴くことができます。
時折コードを押さえる左手がスッと止まり、右手だけのメロディになるところがカッコよくって、
「ダブみたい」などと場違いな感想を持ったりして。
2枚のアルバムを続けて聴くと、この父にしてこの娘ありといった感を強くします。
Louise Mulcahy "TUNING THE ROAD" Cló lar-Chonnacht CICD196 (2014)
Mick Mulcahy "MICK MULCAHY" Gael-Linn CEFCD050 (1976)
2014-07-02 00:00
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