アラブの春に消された歌姫 シャザ・マムドゥー [中東・マグレブ]
今年のアラビアン・ポップスのベストは、ヒバ・タワジで決まりなんですけど、
ヒバ・タワジと一緒に買ったシャバービー旧作がよくって、
ヒバ・タワジと連続で、絶賛愛聴中。
それがエジプトの若手女性歌手シャザ・アマドゥーの08年作。
スローで聞かせる濡れそぼった歌声、しなだれかかるコブシ使い、
せつな系の歌い口と、もろにぼく好みの人なんです。
1曲目のルンバ・フラメンカから、メロウで洗練されたサウンド・プロダクションが好ましく、
うるさい打ち込みが出てこないところも、花丸もの。
全8曲31分足らずという思わせぶりな短さも、ニクい按配のアルバムです。
すっかりお気に入りとなって、その後新作出てないのかしらんと調べてみると、
この2作目を最後に、アルバムは出てないんですね。
というのも、11年のエジプト革命の際に、ムバーラク派擁護の姿勢を糾弾され、
裏切り者扱いされ、現在もほとんど活動休止状態となっているようです。
シャザ・アマドゥーはサウジ・アラビア生まれ。生まれて間もなくエジプトに移住し、
キュートなルックスで、子役として幼い頃から活躍しました。
しかし彼女の夢は歌手になることで、念願かなって04年に歌手デビュー。
デビュー作をリリースしたものの、成功をつかむことはできなかったようです。
その後長い困難を乗り越えて、08年にリリースした2作目の本作が大ヒットして、
飛躍が期待されていたところだったというのに、
アラブの春をめぐる争いに巻き込まれてしまったのでした。
本作のシャザのチャーミングな歌声を聴くたびに、
これで消えてしまうのは残念でなりません。
なんとかカムバックできるといいんですが。
Shaza Mamdouh "EL LAILY" Mazzika 760805010229 (2008)
2014-12-15 00:00
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