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サザン・ソウル=ブルースの現場から メル・ウェイターズ [北アメリカ]

Mel Waiter.jpg

サー・チャールズ・ジョーンズの“PORTRAIT OF A BALLADEER” から、いまだ離れられません。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-10-02
こういうオールド・スクールなソウルが結局一番好きだから、
イマドキのR&Bに、心から身を任せられないんでしょうね。

コンテンポラリーなサウンドを取り入れつつ、
出自はサザン・ソウル=ブルースにあることをくっきりと示す、
ずっしりとした手ごたえの残る歌声。
やっぱりソウルはこうでなくちゃあ、とひとりごちしてしまいます。

これが打ち込み頼みのインディ制作でなく、たっぷりと予算をかけられるメジャーだったら、
優れたミュージシャンたちを揃えることもできるだろうにと、ため息のひとつも漏れようというもの。
それでもまだ、ウィリー・クレイトンのレーベル、エンドゾーンは、
インディの中でも十分健闘しているといえますけど、
プロダクションに恵まれないのが、メル・ウェイターズです。

97年に40代半ばでようやくソロ・デビューした苦労人シンガーのメル・ウェイターズは、
サザン・ソウル=ブルース・シーンでもっとも実力ある歌手でありながら、
いまだインディから浮かび上がれず、サーキット回りをしている人。
アルバムを聴くたび、力のこもった貫禄のあるヴォーカルに感嘆しつつ、
チープなシンセやショボいドラム・マシーンの音色に、
なぜこんな粗末なプロダクションでしか歌えないのかと、
ヴォーカルとプロダクションの極端な落差に、悔しさが込みあがってしょうがありませんでした。

そんな思いも強く、ここ最近のアルバムは聞かずじまいでいたら、
13年の“POOR SIDE OF TOWN” が素晴らしい内容だったことを、遅まきながら気付きました。
ずっと不満だったシンセやドラムスの音色もさほど気にならなくなり、
そうなれば、メルの包容力のあるヴォーカルにぐいぐい引き付けられます。

キャッチーなファンク・チューンの“Who Got The Whisky” なんて最高です。
もともとフックの利いたメロディを書ける人なので、否応なしに歌の説得力も増しますよ。 
「街の貧しい地区で育ったが、そのことを誇りに思っている」というタイトル曲や、
ラストのゴスペル・ソングの語りにも胸を打たれます。
こうした思いを共有する人々の中で歌われるメルの歌を、現場で体験してみたいものです。

Mel Waiters "POOR SIDE OF TOWN" Brittney BR2143 (2013)
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