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ヴァンクーバーが生んだレア・グルーヴ ドーン・ペンバートン [北アメリカ]

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カナダのヴァンクーバーで、
長くセッション・ヴォーカリストとして活動してきたというドーン・ペンバートン。
30代半ばにしてリリースしたソロ・デビュー作は、
その豊富なキャリアを生かした、内容の濃いアルバムに仕上がっています。

ドーンのオールタイム・フェバリット・アルバムが、
ダニー・ハサウェイの“EXTENSION OF A MAN” だというのもナットクのサウンドで、
70年代ソウルをリアルタイムで経験した者には、素直に耳なじむもの。
こういうアルバムって、今のアメリカのR&Bシーンからは、ぜったい出てこないものでしょう。

ネオ・ソウルふうでありながら、70年代ソウルの焼き直しヴァージョンという印象がなく、
アシッド・ジャズのようなテイストを感じさせるサウンドは、
アメリカでもイギリスでもない、カナダ産ゆえの個性なのかもしれません。
有り体に言うなら、「金」や「ビジネス」の臭いがしないというか。
ポップ・センスが売らんかなではなく、
ミュージシャンシップの発露として発揮されていることがきちんと伝わってきます。

ゴスペルの素養をうかがわせる声量の豊かさと、
ジャズ・センスを学び取った細やかな情感を表現する歌い口。
フックの利いたメロディアスな楽曲に、ソフトなファンク・グルーヴ、
ロバータ・フラックやシャーデーに通じるポップ・センスあふれるプロダクション。
演奏はすべて人力で、打ち込みもサンプルもいっさい使われていません。
繊細にしてしなやかなレア・グルーヴに、
ヴァンクーバーという土地が生む品の良さを感じます。

Dawn Pemberton "SAY SOMETHIN’" Do Right Music DR058 (2014)
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