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生演奏のフューチャー・ジャズ クリスチャン・スコット [北アメリカ]

Christian Scott  STRETCH MUSIC.jpg

真っ赤なバックに、ユニークな形をしたトラッペットを構えるクリスチャン・スコット。
時代の先端を切り拓く気概が表わされているようなデザインがカッコいい。

ここ二十年くらいのジャズの沈滞は、ジャケットに露骨に表われていて、
えらくコンサバになるか、ECMみたいなファイン・アート偏重になるかの両極端が、
時代とシンクロできていない証拠でもありましたよねえ。
どんなジャンルの音楽でも、イキオイがあってシーンが活性化している時って、
名作ジャケットが次から次とたくさん出るもの。
そんなわけで、これは新しいジャズが聞けるのではという予感のジャケ買いであります。

1曲目から、えらくカッコいい音が飛び出してきましたよ。
ドラムンベース調のツイン・ドラムスにのる、クールなメロディ。
ドラムスの音色が面白くって、クレジットをみたら、
一人のドラマーには「パン・アフリカン・ドラムス」と書かれています。
どんなドラムスなんですかね、コレ。見てみたい。

全編通して感心させられたのが、サウンド・テクスチャの良さ。
そして、クリスチャン・スコットの作曲能力ですね。
ポスト・ロックやクラブ・ジャズを通過した世代が、
自分の吸収した音楽を無理なくジャズへフィードバックした感のある、
オルタナ・ジャズ的な音響がすごくいいじゃないですか。

ただ、音楽そのものは、ちっとも新しくはないんですね。
身もふたもなく言うと、クラブ・ジャズ界隈で一時期評判になった、
フューチャー・ジャズを生演奏しただけだもんなあ。
「うわー、こんなジャズ聴いたことない」みたいなオドロキを予感していたので、
その点はやや期待はずれではありました。

とはいえ、しっかりと時代とシンクロした新鮮なサウンドを響かせるジャズであることに、
異論はありません。スケール感もあるしね。
いわば、ヒップ・ホップのマシン・ビートを人力演奏する、
新傾向ジャズと同系統の音楽といえるんでしょうね。

実は、ドラマーがブッチャー・ブラウンのメンバーだというので、ちょっと警戒してたんですよね。
でも、ブッチャー・ブラウンみたいな70年代クロスオーヴァーの焼き直しじゃなくて、ホッとしました。
余計な話ですけど、ブッチャー・ブラウンみたいなバンドをもてはやすのって、
あのくだらないアシッド・ジャズ・ブームを再来させるかのようで、ウンザリします。

あえて注文をつけるなら、もうちょっとソロをなんとかしてくんないかなあ。
トランペットの音色はいいのに、ソロがぜんぜんつまんない。
バリバリでもクールでもどちらでもいいので、
もう少し印象に残る、マシなソロ・ワークをお願いします。

Christian Scott "STRETCH MUSIC" Stretch Music/Ropeadope no number (2015)
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