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ソウル・マンここにあり ロバート・フィンリー [北アメリカ]

Robert Finley  Sharecropper's Son.jpg

62歳で出したロバート・フィンリーのデビュー作には、ヤラれました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-01-27
その歌声には、苦渋に満ちた人生が凝縮されていて、
ドロリと溶け出してくる情感と、それに呼応するサザン・ソウル・サウンドに、
ただただ泣くことしかできませんでしたからねえ。

その後フィンリーは、ブラック・キーズのダン・オーバックにフック・アップされ、
17年にオーバックのプロデュースで2作目を出していたんですね。
本作が出るまで、そのことを知らなかったんですけれど、
その2作目同様、ナッシュヴィルでレコーディングされたのが、今回の新作。
もちろんプロデュースは、2作目に引き続き、ダン・オーバックです。

デビュー作では、アル・ギャンブルのハモンドとハワード・グライムズのドラムスに、
ドキドキしたものですけれど、こちらでは、ボビー・ウッドのキーボードと、
ジーン・クリスマンのドラムスというメンフィス・ボーイズの面々が脇を固めていて、
聴き応え十分。

今作はサザン・ソウル一直線のサウンドというより、
カントリー・ロックの要素も感じさせるサウンドで、
アーリー・セヴンティーズのスワンプ・ロックをホウフツさせますね。
ジャケット・デザインだって、70年代ロックの雰囲気じゃない?

で、冒頭の3連バラードから、ノック・アウトをくらいました。
いきなりのファルセットに、ええっ!と驚かされ、
しょっぱいバリトン・ヴォイスに歌い繋いでいくところで、もう持ってかれちゃいました。
地声と行きつ戻りつを繰り返して、ラストでまたファルセットをかまして、
クライマックスに向けて登りつめていきます。
う~ん、芸域を広げてんなあ。

そして、ヒル・カントリー・ブルースの風味を取り入れているのは、
ダン・オーバックのテイストだろうな。
R・L・バーンサイドのバックで長年プレイした、
ギタリストのケニー・ブラウンとベーシストのエリック・ディートンが参加して、
ヒル・カントリーらしい催眠グルーヴが味わえます。
ワン・コードの‘Country Child’ なんてその極みで、
ケニーのスライドが冴えまくってますよ。

‘Sharecropper's Son’ から‘My Story’ と続く自叙伝2曲が、本作のハイライト。
ソウル・シンガーとしてスケール感を増した歌いっぷりに、
当意即妙に応えるバックは、黄金時代のハイ・サウンドを思わせ、胸が熱くなります。
オーバック、いい仕事してんなあ。
歌に、演奏に、パッションがみなぎり、ハートフルなアルバム。
大いに泣かせ、心を熱くさせてくれます。

Robert Finley "SHARECROPPER’S SON" Easy Eye Sound EES015 (2021)
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戸嶋 久

今年リリースだったぼくのお気に入りのブラック・キーズの最新作『デルタ・クリーム』のことを調べていて気が付いたんですが、このロバート・フィンリーのアルバムにも(ケニー・ブラウンだけでなく)ジュニア・キンブロウのベーシストだったエリック・ディートンが参加していますか?

なんでもロバート・フィンリーのこれとブラック・キーズの『デルタ・クリーム』は、同時期に同じナッシュヴィルのイージー・アイ・サウンド・スタジオで共時的に製作されたそうで。

ケニー・ブラウンらの参加は、どっちからどっちへの流れでどっちが派生的だったのかはぼくにはわかりませんけど、ひょっとして『デルタ・クリーム』の色がロバート・フィンリーのアルバム製作に影響した?
by 戸嶋 久 (2021-09-19 20:56) 

bunboni

記事中に書いているとおり、エリック・ディートンが参加しています。“DELTA KREAM” と並行して制作したんじゃないでしょうか。
by bunboni (2021-09-19 21:10) 

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