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知られざるモーリシャスのセガ ロジェ・クランシー [インド洋]

Roger Clency  ROULÉ CLENCY.jpg

前回取り上げたレ・ピトン・ド・ラ・フルネーズのアルバムに、
モーリシャスのセガ・シンガー、ロジェ・クランシーの‘Séga Pêcheur’ がありました。
オリジナルは70年にASから出たEPに収録されていた曲ですけれど、
LPにもCDにもなっておらず、当然ストリーミングにもないので、聴くことはできません。

ロジェ・クランシーはマリー・ジョゼーとの夫婦デュオで、
60~70年代に数多くのEPを出した、モーリシャスの代表的なセガ・シンガー。
残念ながら当時の音源は未復刻なので、まったく知られていません。

レユニオン音楽のヴィンテージ録音を復刻したタカンバが、
モーリシャスも掘ってくれたら良かったんだけれど、
タカンバは活動停止しちゃったからなあ。
モーリシャスの魅惑の熱帯歌謡は、
欧米のDJ連中が掘ってるのより一時代前の60年代に,、
たんまり眠っているんですけどねえ。

ロジェとマリー・ジョゼーとコンビも、60年代録音があるはずなんですけれど、
ぼくも聴いたことはないんですよねえ。
LP時代は、観光客向けのステージ衣装で、ダンサーたちとともに写った
レコードが何枚かありましたっけ。
ほかにも、ロジェのソロLPがあった記憶がありますけれど、手元にはなく、
CD時代になってから出た、04年作の1枚を持っています。

このCDが絶品なんですよ。
オープニングから、コロコロとしたバンジョーの響きと、
アコーディオンの涼し気な音色に誘われて、
セガの朗らかなリズムに頬がゆるみます。

ロジェのバックで囃子役の男女が、ちゃちゃを入れたり、
のどかなトランペットがフィーチャーされるのもなんとも楽しくって、
これぞセガのムードです。ロジェのコミカルな歌いぶりも、
セガの大衆芸能らしい性格をよく映し出しています。

ドラムスの生音や、キーボードの加工していない音づくりが、
これほどここちよいアルバムも、なかなかないですよねえ。
まるでデモ・テープみたいなサウンドですけど、
60年代のアクースティックな歌謡セガに通じるローカルらしい味わいで、
これをチープと呼ぶ人は、心が曲がってます。

『ポップ・アフリカ700/800』の選盤では、
ミッシェル・ルグリに席をゆずってもらったので、
ロジェ・クランシーは紹介できませんでしたが、
ミッシェル・ルグリのアルバムと全く遜色のない内容です。

思えば『ポップ・アフリカ700/800』でセレクトしたシリル・ラムドゥー、
ミッシェル・ルグリ、トントン・アンペーニュだって、
聴いたことのある人が、いったい何人いるのやら。
現地産CDはいまや入手不可能だし、ストリーミングにあるわけないし、
容易に聴けない状況が、クヤシイったらないですよ。

Roger Clency "ROULÉ CLENCY" Wannado Production W059/04 (2004)
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