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フランス発ノスタルジックなインド洋音楽バンド レ・ピトン・ド・ラ・フルネーズ [西・中央ヨーロッパ]

Les Pythons De La Fournaise  L’ORCHESTRE DU PITON.jpg

フランスにこんなバンドがいたなんて!
レユニオン出身のルネ・カデ(ヴォーカル、ギター)を中心に、
フランスの若いミュージシャンたち9人が集まったセガ楽団、
レ・ピトン・ド・ラ・フルネーズであります。
インド洋のクレオール・ダンス歌謡のセガがエレクトリック化した時代の、
60~70年代の曲を歌うとは、な~んて、酔狂な連中なんでしょうか!
こちらのツボを押しまくってくれる選曲に、もう、ナミダがちょちょぎれます。
レユニオンにある火山の名前を、グループ名にするだけありますね。

60~70年代のセガといえば、多くのインディペンデントのレーベルが現地に生まれて、
EPが続々発売された時代ですね。
歌謡セガが、エレクトリック化によって一気にポピュラー化が進んだ時代でもあります。
当時のEPをコンパイルしたコンピレが、ここ数年やたらと出ているんですけれど、
それらのコンピレの選曲が、サイケ/チープ趣味に偏っているのがイケスカなくて、
当ブログで無視し続けていることは、カンのいい読者ならばお気づきのはず。

ところが、このレ・ピトン・ド・ラ・フルネーズの連中は、いいシュミしているんですよ。
クロード・ヴィン・サン、マキシム・ラオープ、フランソワーズ・ギャンベールなどの
レユニオン勢に、ファンファン、ロジェ・クランシーというモーリシャス勢の
セガやマロヤの名曲を取り上げ、原曲のアレンジをほとんどいじることなく、
現代に蘇らせているんですね。
エレクトリック・セガのもっとも美味しいところ、ツボがわかっていて、ご同慶の至り。

Maxime Laope  ILE DE LA RÉUNION.jpg

せっかくなので、ぼくがカンゲキしたレパートリーをご紹介しておきましょう。
レユニオンの名クルーナー、マキシム・ラオープの‘Madina’ は、
90年のLP“LES MEILLEURS SEGAS DE MAXIME LAOPE” がオリジナル。
92年に出たCD“ILE DE LA RÉUNION” に入っていました。
もう1曲のマロヤの‘Maloya Tantine’ は、タカンバ盤で聴くことができます。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-02-15

クロード・ヴィン・サンの名曲‘Maloya’ は、50年代末か60年代初期のころの録音で、
オリジナルはタカンバ盤で聴けるほか、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2009-10-20
時代の下った70年代に、アコーディオンをオルガンに代えて
再演したシングル盤もあります。
このシングルでは、ギター、エレピ、ドラムスをクロードの息子たちが演奏していて、
ボンゴ・ジョーのコンピレに、この再演ヴァージョンが選曲されていました。

でも、お手本にしているのはオリジナル録音のほうで、
アコーディオンをフィーチャーして、歌を男女二人で歌っているところは、
原曲に忠実です。エレクトリック・ギターが、エキゾティックでブルージーな
メロディを強調しているのが、すごく良い感じ。

Fanfan  ILE MAURICE.jpg

モーリシャスのファンファンの‘Belina’ は、オコラ盤に収録されていました。
オコラ盤は、アルバム・タイトルの「セガ・ラヴァンヌ」が示すとおり、
平面太鼓ラヴァンヌを叩きながら歌う伝統的なアフロ色の濃いセガですが、
こちらではバンド・アンサンブルで聞かせます。
キャッチーなメロディが、いかにもセガらしいポップな曲で、
ギターのリックがいいフックを作っていますねえ。
オリジナルの ♪ ベリナ ベリナ ♪ を連呼するところがないので、
歌詞を変えているみたい。

レユニオンでマロヤのグループを率いた初の女性歌手、フランソワーズ・ギャンベールが
78年に出した ‘Tantine Zaza’ は、彼女のニックネームにもなった代表曲。
ストラット盤のマロヤ・コンピレに選曲されていました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-09-16

Françoise Guimbert  PANIANDY.jpg

フランソワーズのプリティ・ヴォイスが、クールな音色のエレピとあいまって、
ブルージーなマロヤに得も言われぬ味わいを醸し出していたヴァージョンでしたが、
エレピの代わりに、エレクトリック・ギターとアコーディオンが
オリジナルのクールなムードを演出して、女性シンガーの若々しい声が、
フランソワーズの歌のニュアンスをよく模しています。
ちなみにこの曲、フランソワーズが01年に出したソロ作でも再演されています。

レ・ピトン・ド・ラ・フルネーズの演奏には、田舎ふうのいなたい味わいが溢れていて、
ドサ廻りのダンス・バンド的風情にグッときちゃうんですよ。
いまどきこんなノスタルジックなインド洋音楽をやるなんて、
フランス人らしいエスプリだよなあ。
メンバーの名前をみると、カヤンブ、ルーレ、ラヴァンヌ、サティの打楽器奏者が、
ひょっとするとレユニオンもしくはモーリシャスの出身者かもですが、
ほかのメンバーはフランス人のようですね。
女性歌手の一人が、ヴェトナム系の名前なのが気にかかります。

Les Pythons De La Fournaise  SLP!.jpg

すでに10年の活動歴があり、本作は3作目だということを知りました。
3作ともLPリリースで、CDは限定制作だったみたいですね。
12年の前作CDを入手したら、こちらでもクロード・ヴィン・サン、マキシム・ラオープ、
ジュール・アルランダといったレユニオンの名作曲家たちのセガを取りあげていました。
モーリシャス伝説のチ・フレールの‘Charlie O’ を
70年代エレクトリック・セガふうにカヴァーしたのなんて、痛快そのもの。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2009-10-22

鍵盤、ギターなどのエレクトリック楽器を、オールド・タイミーな音色使いで
ノスタルジックな演出するところなど、脱帽するほかありません。

Les Pythons De La Fournaise "L’ORCHESTRE DU PITON" Catapulte CATACD031 (2021)
Maxime Laope "ILE DE LA RÉUNION" Piros CDP5163 (1992)
Fanfan "ILE MAURICE: SÉGA RAVANNE" Ocora C560137 (1999)
Françoise Guimbert "PANIANDY" no Label CDH-l.oi01 (2001)
Les Pythons De La Fournaise "SLP!" Catapulte no number (2012)
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