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ジャズを超えた地平を目指す才能 松丸契 [日本]

松丸契  THE MOON, ITS RECOLLECTIONS ABSTRACTED.jpg

スゴイ!
デビュー作で、その才能に舌を巻いた松丸契でしたけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-01-18
驚愕のデビュー作から、さらに表現力を深めた2作目を出しましたよ。
その成熟のスピードには、目を見張ります。

メンバーは第1作と同じ、石若駿(ds)、金澤英明(b)、石井彰(p) のBOYSの3人に、
石橋英子(electronics, syn, fl, vo)が参加。石橋は1曲、歌も歌っています。
今作の大きな変化は、エレクトロニクスの導入ですね。
石橋だけでなく、松丸もエレクトロニクスを担当していて、
松丸の表現世界が、これによってグッと広がった感じ。

松丸の楽曲は、曲ごとにカラーが違い、それぞれに表現しようとする世界観があって、
それぞれに応じた制作意図で作っていることが伝わってきます。
CDオビに、「即興と作曲の対比と融合」「具体化と抽象化」というコンセプトが
書かれていましたけれど、前者は楽曲の構成に、後者は演奏に示されていると
ぼくは聴き取りました。

松丸が目指している世界は、もはやジャズなどというジャンルを超越していて、
電子音楽やアンビエントなど、さらにジャンルとして認識されていない音楽まで
内包した世界を目指しているように思えます。というのも、前作と違って、
かなりポスト・プロダクションを作り込んで制作されたことが聴きとれるからです。
どの曲にも明確なヴィジョンがあって、演奏に偶発性を感じさせないというか、
松丸が事前に設計した音楽を、メンバーとともに構築しているという印象。

クレジットを見て気になったのが、
7曲目に松丸によるフィールド・レコーディングと書かれているんだけれど、
7曲目を聴いても、どこにその音があるのか、さっぱりわからなかったこと。
フィールド・レコーディングされたのが音楽なのか、自然音なのか、
人工音なのかももわからない。本作に松丸が込めた企みは、
ぼくにはまだまだ解明できていないという感触が残ります。

それを理解するには、次作の登場までかかるかもしれないなあ。
でも次作が出たら、またこちらの想像を超えた世界を生み出していそう。
そんな底知れぬ可能性を感じさせる才能の持ち主です。

松丸契 「THE MOON, ITS RECOLLECTIONS ABSTRACTED」 Somethin’ Cool R2000191SO (2022)
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