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声とギター ソン・イジョン & ヴィニシウス・ゴメス [東アジア]

Song Yi Jeon + Vinicius Gomes.jpg   Vinícius Gomes  RESILÊNCIA.jpg

タチアーナ・パーラ!
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-03-27
この歌声を聴けば、誰もそう思うよねえ。いや、ぼくも最初そう思いました。
ところが、これ歌っているのは、韓国の人だというんだから、意外や意外。
アジア人だとは、思いもよりませんでした。
ジャズ表現がグローバルになったことを実感させられますねえ。

ソン・イジョンはヨーロッパへ音楽留学し、オーストリアでクラシックを、
スイスでジャズを学び、さらにアメリカへ渡ってバークリーで
ジャズ・ヴォーカルを勉強したという経歴の持ち主。

タチアーナ・パーラのデュオ相手は、ピアニストのヴァルダン・オヴセピアンでしたけれど、
ソン・イジョンが選んだ相手は、ブラジル人ギタリストのヴィニシウス・ゴメス。
ヴィニシウス・ゴメスは、サン・パウロ・ジャズ・シンフォニカ、
サン・パウロ交響楽団の一員で、ブラジルの新興ジャズ・レーベル、
ブラックストリームから、17年にデビュー作を出した人。
あのデビュー作は、ギタリストとしてだけでなく、コンポーザーとしての才覚を示した、
アンサンブル重視の秀逸なアルバムでした。

本作は、二人による、声とギターのアルバム。
ソン・イジョンはほぼ全曲スキャットで歌い、ヴィニシウス・ゴメスは、
1曲のみエレクトリックを弾く以外は、ナイロン弦ギターを弾いています。
レパートリーは二人のオリジナルのほか、キース・ジャレット、カルロス・アギーレ、
ドミンギーニョスの曲を取り上げ、ジミー・ロウルズの‘A Timeless Place’ のみ、
ヴィニシウスがエレクトリックを弾き、イジョンが英語の歌詞を歌っていますよ。

タチアーナとオヴセピアンの二人は、クラシック臭が強くて、
ぼくには抵抗があるんだけど、ソン・イジョンとヴィニシウス・ゴメスには、それがない。
こちらの二人の音楽性の方が、よりジャズ的ですね。
二人が書くオリジナルは、アブストラクトな展開をするものの、
きらきら光る水面のスペクトラムを見るような美しさがあります。

ミニマルなギターのベース音に、ギターと歌がユニゾンでメロディを奏でたり、
ギターがコードでハーモニーを奏でる、ヴィニシウス作の‘Flow’ に息を呑みました。
アルバム・ラストをドミンギーニョスのショーロで締めたのも、嬉しい構成です。

Song Yi Jeon + Vinicius Gomes "HOME" Greenleaf Music GRE-CD1098 (2022)
Vinícius Gomes "RESILÊNCIA" Blaxtream BXT0012 (2017)
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