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今年は集おう オスカル・カストロ=ネヴィス [ブラジル]

Oscar Castro-Neves  ALL ONE.jpg

コロナ騒ぎに見切りをつける機運が高まって、
ずっと途絶えていたパーティや集まりの誘いが増えてきました。
ひさしぶりに集まった友人たちとの忘年会では、
BGMのお役目を仰せつかりましたよ(DJではありません)。

パーティに合いそうなブラジルやカリブ方面から、
「通」好みなのを避けてみつくろったところ、持ち込んだCDはどれも好評で、
セレクター冥利につきたんですけど、すこぶる評判が良かったのがコレ。
オスカル・カストロ=ネヴィスは、参加者全員が「これ、いい!」と大絶賛で、
あんなにウケるとは意外でした。

オスカル・カストロ=ネヴィスといえば、彼がアレンジした名作は、
クァルテート・エン・シー筆頭にゴマンとあれど、
リーダー作となると、あんまり思い浮かぶものが、ありませんよね。
同時期にアメリカで活躍したデオダートとは、そのあたり、だいぶ違いますねえ。
遺作となった本作も、案外知られていないんじゃないのかな。
本作は、アレンジャーとして、ギタリストとして、
オスカルのキャリアを総括したともいえる作品で、
みんなに大受けしたのもナットクの、オスカル・カストロ=ネヴィスの最高作です。

レパートリーは、オスカルの自作曲に、ジョビンの「ダブル・レインボウ」、
「ある愛の物語」「ザ・ヴェリー・ソート・オヴ・ユー」といったスタンダード・ナンバー、
「ラウンド・ミッドナイト」や「ネイマ」といったジャズ名曲ほか、
ショパンの「プレリュード ハ短調 Op.28 No.20」というクラシック曲まであって、
アルバム・ラストは、マイケル・フランクスの「ワン・バッド・ハビット」。

オスカル・カストロ=ネヴィスのポップ・センスが十二分に発揮された本作、
ボサ・ノーヴァを基調としながら、その底にはサンバをはじめとする、
ささまざまなブラジル音楽が溶け込んでいるところに、ウナっちゃうんです。
マルシャをファンクにした‘All One’、
バイーア産アフロ・サンバの‘Kurski Funk’、
ショーロの‘Holding With An Open Hand’ がまさにその典型。

なかでも、ニクいばかりの職人芸を聞かせてくれるのが、‘Não Me Diga Adeus’。
かつてマリア・クレウザが、『リオの黒バラ』こと “EU DISSE ADEUS” で歌った名唱が
忘れられないんですけれど、なんとこの曲を、セルジオ・メンデスの『マシュ・ケ・ナダ』の
アレンジを借用して料理してみせるんだから、脱帽・降参・完敗です。
さすがは、セルジオ・メンデス&ブラジル77の音楽監督を10年も務めた才人。
この曲の極上の仕上がりに、パーティでも拍手が起こりましたよ。

ギタリスト、コンポーザーとしての魅力は、
オスカル自作の ‘More Than Yesterday’ につきますね。
急速調のリフをテーマにしたこのインスト・サンバは、
ジャズでもショーロでもない、コンポジションのカッコよさが格別。
そして、キレのいいオスカルのギター・ワークといったら、
運指をマネしようものなら、指がつっちゃうよ!

このアルバムを聴けば聴くほどに、オスカルのプロデューサー、
アレンジャーとしての深い技量を感じずにはおれないんですが、
一方、そんなことをまるで意識させず、
パーティ・ミュージックとして人々を楽しませるポップ・センスが、
このアルバムを価値あるものにしているのでした。

Oscar Castro-Neves "ALL ONE" Mack Avenue MAC1026 (2006)
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