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ドイツのフューチャー・ジャズ再考 ルーニング [西・中央ヨーロッパ]

Lühning.jpg

さぶ~。
最低気温が氷点下ともなると、朝のウォーキング用のプレイリストも、
寒冷地仕様にしないと、気分が上がりません。
北欧のジャズとか、いろいろ引っ張り出してきて試してみたんですけど、
意外にどハマリしたのが、ドイツのルーニング。

すっかりご無沙汰してたアルバムで、20年ぶりくらいかなあ。
ルーニングを覚えている人って、どれくらいいるのかしらん。
ドイツのフューチャー・ジャズのグループなんですけれど、
「フューチャー・ジャズ」じたい、もはや死語ですね。

2000年あたりから、ノルウェイのレーベル、ジャズランドを筆頭に、
フューチャー・ジャズのブームが起きて、ニルス・ペッター・モルヴェルや
ブッゲ・ヴェッセルトフト、アイヴィン・オールセットが話題になりましたけど、
ドイツ、フランス、イギリスからは、クラブ・ジャズのサイドから
フューチャー・ジャズを冠した作品が盛んに出され、
ニュージャズ(ナカグロなし)とかエレクトロニック・ジャズとも呼ばれていたかな。
ルーニングもそんな1枚でした。

発売当時、さして話題にもなりませんでしたが、
ぼくはこのグループの音楽性に注目していたんです。
女性ヴォーカリストのインガ・ルーニング、ドラムスのクリスチャン・トメ、
ギターのマリオ・マンモーネ、ベースのヘルムート・ファスによる4人組で、
ヴォーカリストの名前をグループ名にしているのは、シャーデーと同じマナー。

レパートリーがユニークで、フィフス・ディメンションの‘Aquarius’
ジョニ・ミッチェルの‘Black Crow’、ビョークの‘Hyperballad’、
コルトレーンの‘Naima’、ピアソラの‘Libertango’、プリンスの‘Cream’ を
カヴァーしているんですね。その選曲のセンスの良さにも感じ入るんですが、
オリジナルのフォーマットを逸脱したアレンジが聴きものなんです。

インガはチャーミングな声の持ち主で、原曲のメロディを忠実に、
ほとんど崩さずに歌っているんですが、オリジナル曲では、
鳥の泣き声を声帯模写するような離れ業も披露しています。
ドラムスが細分化したビートで、ドラムンベースをトレースしたような
プレイを繰り広げるところが、このグループのアピール・ポイントかな。
スティーヴ・カーンを思わすクリアなトーンのギターが、
アヴァンなソロを弾いたりと、さまざまな斬新なサウンドを聞かせるものの、
実験色を感じさせず、ポップな音楽性にまとめ上げているところが、
このグループのいいところですね。

オリジナリティに富んだルーニングのサウンドは、いま聴いても新鮮です。
当時は、人力ドラムンベースのバンドといった文脈で捉えていましたけど、
いまとなれば、新世代ジャズを先取りしていたグループとも
評価できるんじゃないでしょうかね。

この1作で消えてしまったのは残念だなと思ったら、
08年にもう1枚出していて、日本盤でも出ていたんですね。
こちらは、もっとおしゃれなカフェ/ラウンジ系といったサウンドになっていました。
そのあたりが、クラブ・ジャズの出自を表しているようです。

Lühning "LÜHNING" Jazz Haus Musik JHM111 (2000)
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