クラブ・ミュージックがクロスオーヴァーし始めた頃 アナンダ・プロジェクト/ピーター、フリーテンポ [その他]
ノヴァ・フロンテイラで火が点いて、またぞろ昔のハウス周辺の
クラブ・ミュージックを棚から取り出す日々が続いています。
90年代末から2000年代にかけて、
クラブ・ミュージックを聴いていた一時期があったことは、
前にもちょっと書いたことがありましたね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
クラブ・ミュージックがハウス、テクノ、ヒップ・ホップ、ドラムンベース、
ブロークン・ビート(定着している「ブロークンビーツ」は誤記)と
さまざまにクロスオーヴァーしていたこの時期、
ハウスを基調としたオーガニックなニュアンスのある
エレクトロニック・ミュージックに惹かれていました。
その代表がアナンダ・プロジェクトだったんです。
98年にアトランタで結成されたアナンダ・プロジェクトは、
ワムドゥー・キッズやピーターなどの名義で活動していた
DJ/プロデューサーのクリス・ブランを中心としたグループ。
男女ヴォーカル、キーボード、パーカッションのメンバーを擁し、
フュージョン、ブラジル、ジャズ、アンビエントなど多様な要素を凝縮した
サウンドを繰り広げていました。
03年に出た “MORNING LIGHT” は、エレピやシンセが幾重にもレイヤーされて、
ヌケのいいサウンドスケープを描いた名作でした。
ナイロン弦ギターの甘やかな響きを引き立てて、
ほのかなブラジリアンなテイストを演出していましたね。
そしてブラジルのサウダージとは異なる感触の、
孤独感をしのばせたメロディにも魅力がありました。
同じ年にピーター名義で出した “STARING AT THE SUN” も同趣向の好盤でした。
アナンダ・プロジェクトと時同じくして、日本に登場したのがフリーテンポでしたね。
当時渋谷のHMVが強力にプッシュしていて、それでぼくも買った記憶があります。
のちに半沢武志の名で活動するようになるフリーテンポのファースト・アルバムは、
ぼくにはアナンダ・プロジェクトの姉妹盤のように聞こえました。
フリーテンポはアナンダ・プロジェクトよりブラジリアン・フュージョン色が強く、
もろにサンバな曲もいくつかやっています。
ティピカルなパラッパ・スキャットがフィーチャーされるサンバでは、
ラテン・タッチのピアノやティンバレスもフィーチャーするという、
「ブラジル+ラテン」の面白い仕上がりとなっています。
アクースティック・ピアノをバックに男性ヴォーカルをフィーチャーしたトラックの
せつないメロディは、アナンダ・プロジェクトのメロディ・センスと見事に共振します。
渋谷のHMVが推すのもナットクのオシャレなクラブ・ミュージックなんですけど、
フリーテンポは東京に出てくることなく、仙台で音楽制作をしながら、
イタリアのイルマ・レコーズからデビューするという、
地方からダイレクトで海外進出する新しさに、時代の変化を実感したものでした。
Ananda Project "MORNING LIGHT" Nite Grooves/BPM King Stret Sounds KING234 (2003)
P’tahh "STARING AT THE SUN" Ubiquity URCD124 (2003)
FreeTEMPO 「THE WORLD IS ECHOED」 Forestnauts no number (2003)
2023-08-14 00:00
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