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ハードコアなシャアビ・エレクトロニカ プラエド [中東・マグレブ]

Praed  DOOMSDAY SURVIVAL KIT.jpg   Praed  KAF AFRIT.jpg

エレクトロニカでシャアビをやるというユニークな二人組、プラエド。
新作を試聴してぶったまげ、前作と合わせてオーダーしました。

シャアビ・エレクトロニカと勝手に命名しちゃいましたけれど、
ひたすらループする催眠的なフレーズが
トランシーなサウンドスケープを繰り広げるプラエドは、
純度の高い即興音楽を繰り広げています。

ジャケットのチープなヴィジュアルがナカミの音楽とずいぶんかけ離れていて、
ソンしてるような気がしますけれど、サイケデリック・ロックとも
親和性のあるサウンドだから、こういうヴィジュアルにしてるのかなあ。

プラエドは、67年スイス、ベルン生まれのパエド・コンカと
79年レバノン、ベイルート生まれのラエド・ヤシンの二人組。
二人とも作曲家でエレクトロとサンプラーを扱いますが、
パエド・コンガはクラリネットとベースを
ラエド・ヤシンはシンセサイザーを演奏します。

パエド・コンカは、89年から音楽活動を始め、
演劇、映画、ダンス・パフォーマンスのための音楽を作曲して
数多くのプロジェクトに参加し、日本にもたびたび来日しているようです。
オランダのアヴァン・ロック・グループ、ブラストではベースをプレイしていました。

ラエド・ヤシンは、インスティテュート・オブ・ファイン・アーツの演劇科を卒業後、
世界各国のミュージアムやフェスティヴァルで作品を発表してきたというキャリアの持ち主。
プラエドとして19年に来日もしていて、JAZZ ART せんがわに出演しています。
なるほど、むしろお二人の音楽性は、実験音楽やアヴァン・ジャズに近いわけね。

19年作 “DOOMSDAY SURVIVAL KIT” 収録の4曲は、
17分33秒、6分5秒、11分42秒、15分26秒というサイズで、
リズムが一定のままでこの長さを飽かさずに聞かせるのは、
圧倒的な即興演奏の力ですね。
サンプリングされたダルブッカのビートなど、リズムはシャアビの伝統に忠実で、
延々と続くグルーヴにのせて繰り広げられるインプロヴィゼーションの集中力に、
惹きつけられます。

最新作 “KAF AFRIT” も19年作同様の内容。
バス・クラリネット兼テナー兼ソプラノ・サックス、キーボード、パーカッションの
アディショナル・ミュージシャンの顔触れも同じ。
電子音楽らしからぬ肉感的なグルーヴと前衛的な即興演奏が同居していて、
ハードコアなシャアビ・エレクトロニカを堪能できます。

Praed "DOOMSDAY SURVIVAL KIT" Akuphone AKUCD1011 (2019)
Praed "KAF AFRIT" Akuphone AKUCD1042 (2023)
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