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オトナ同士の会話 シコ・ピニェイロ & ロメロ・ルバンボ [ブラジル]

Chico Pinheiro & Romero Lubambo  TWO BROTHERS.jpg

シコ・ピニェイロとロメロ・ルバンボのお二人。
ブラジルからアメリカへ居を移したジャズ・ギタリスト同士ということで、
デュオをするのも必然だったのでは。

55年リオ生まれのルバンボが渡米したのは、85年のこと。
75年サン・パウロ生まれのシコ・ピニェイロが
ニュー・ヨークに移り住んだのは18年のことなので、まだ5年。
二人は12年前にサン・パウロですでに出会っていたそうです。

ジャジーなMPBのシンガー・ソングライターとしてデビューした
シコ・ピニェイロですけれど、ご本人の歌はシロウトの域を出ず。
奥方のルシアーナ・アルヴィスがすごく魅力的な歌い手なので、
歌はルシアーナに全部任せちゃえばいいのにと思っていたんですが、
ジャズ・ギタリストの才能はインターナショナル・レヴェルの人なので、
今回のようなインスト作品なら、もろ手を挙げて歓迎です。

Chico Pinheiro & Anthony Wilson  NOVA.jpg

前にもシコ・ピニェイロは、ギタリストとのデュオ作品を出しましたよね。
ロス・アンジェルスのジャズ・ギタリスト、アンソニー・ウィルソンとの共演でした。
あれはいいアルバムだったなあ。
ファビオ・トーレス(p)、パウロ・パウレッリ(b)、エドゥ・リベイロ(ds)を軸に、
曲によってホーン・セクションもたっぷり入れ、
イヴァン・リンスやドリ・カイーミがゲストで歌う曲もありました。
リラックスした演奏のなかにも、二人のテクニカルなソロが
競い合うように披露されていて、スリリングな要素も満点でした。

今回のロメロ・ルバンボとのデュオは、二人のみの演奏。
二人ともアクースティックとエレクトリックを使い分けて、
まさにギターによる会話を楽しんでいるといった趣です。

レパートリーは二人のお気に入り曲を取り上げたそうで、
そこにプロデューサーが助言して、ジャヴァン、シコ・ブアルキ、ジョビン、
ミシェル・ルグラン、ビル・エヴァンス、レノン=マッカートニー、
スティーヴィー・ワンダー、ビリー・アイリッシュ、スティングが選曲されています。

二人とも抑制の利いたバランスのいいプレイをしつつ、
要所で淀みなく16分音符が流れる長い流麗なソロを繰り出していて、
その熟達したインタープレイにはタメ息が漏れるばかりです。
二人とも大声を出すことなく、相手の話をよく聴いてから応答していて、
会話を楽しむ様子が手に取れるように聞き取れる演奏ぶりですね。

相手がどんな気持ちで聴いているのかも解さず、
とうとうと演説して自己満足に陥りがちな昭和世代からすると、
シコ・ピニェイロのオトナな態度に感心してしまうのでした。
自分より若い世代って、オトナなんだよなあ。前期高齢者のガキっぷりを恥じ入ります。

Chico Pinheiro & Romero Lubambo "TWO BROTHERS" Sunnyside SSC1697 (2023)
Chico Pinheiro & Anthony Wilson "NOVA" Buriti BR001 (2007)
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