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幻想の楽園 サイラス・ファーヤー [北アメリカ]

Cyrus Faryar.JPG

実在しない幻想の楽園をイメージした真夏の極楽アルバムといえば、
サイラス・ファーヤーの“ISLANDS”がまっさきに思い浮かびます。
73年にリリースされたサイラスの2作目、知る人ぞ知る名作ですね。
当時サイラスが誰かも知らず、ジョン・サイモンのプロデュース作ということだけで買いました。

サイラスがイランのテヘランに生まれ、
世界各地を転々とした末にハワイへ落ち着いたということは、ずっとあとになって知りました。
62年アメリカ本土へ渡り、ウィスキーヒル・シンガーズの一員としてプロ・デビュー後、
翌63年にはホノルル時代の同僚たちとともにモダン・フォーク・カルテット(MFQ)を結成しますが、
66年解散後ほどなくしてハワイへ帰ったようです。
ハワイ育ちとはいえハワイ音楽の影響はまったくなく、その特異な個人史が、
このアルバムに発揮された独特のエキゾティックな感覚に結びついたのでしょう。

“ISLANDS”は3曲から構成される壮大な組曲で幕を開けます。
お気楽なトロピカル音楽などを予想していたら大違いのミステリアスな世界へとリスナーをさらい、
時が止まったかのような幻想空間が、目の前に立ち上ります。
いっしゅんの眩暈のような南国楽園が、うたかたの白日夢の如く消え去っていく。
これは「あの世」なのではと想わせる、奇妙な静けさとやすらぎに満ちたオープニングです。
サイラスの深みのある声が、いっそう荘厳な雰囲気を盛り上げています。

もしお聞きになったことがなければ、ぜひ一度お試しを。
CDは紙ジャケの日本盤と、Collectors' Choice Musicから出ているアメリカ盤があります。

[LP] Cyrus Faryar "ISLANDS" Elektra 75068 (1973)
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