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ムラユとターラブをつなぐ海のシルクロード [東南アジア]

Orkes Nur El Surayya Medan.JPG    Anak Durhaka.JPG

スマトラの地震、大きな被害が出ているようで、心配です。
5年前の巨大地震以来、スマトラは繰り返し地震に襲われていますね。
インドネシアへはジャカルタにもバリにも行ったことがないんですが、
スマトラだけは足を踏み入れたことがあって、とても気になります。
何もできないのが歯がゆいですが、一人でも多くの方が助かるのを祈るばかりです。

ずいぶん昔の話ですが、大学時代のゼミ旅行で北スマトラへ行き、
最初に飛行機から降り立ったのがメダンでした。
民族音楽研究で有名な江波戸昭先生に連れられて、
北スマトラのバタック人の民謡「シンシンソ」を聴きに行くという旅だったのです。

最近、メダンをグループ名に冠したOrkes Nur El Surayya MedanのCDを
立て続けに2枚手に入れ、ふと30年前のゼミ旅行を思い出しました。

2枚組のインタン盤CDで初めてこのグループを聴いたんですが、
ターラブそっくりのサウンドが飛び出してきたので、びっくりしてしまいました。
ドラムス、ベースのリズム・セクションにオルガンやホーンズが加わり、
ドンダン・サヤンやラテン調のナンバーも織り交ぜたポップ・ムラユなんですが、
ケニヤのモンバサで録音されたターラブだと言われても、信じちゃいそうですね。
海のシルクロードを伝って、マラッカ海峡音楽が遠く東アフリカ沿岸にまで響いていることを、
これほど実感させるサウンドもないでしょう。
インド洋を越えてイスラム商人が交易した歴史を物語るアルバムです。

聞くところによると、このグループには北スマトラ東海岸地域のポップス、ムラユ・デリを代表する
メダン出身の女性歌手アスミダール・ダルウィスが在籍していたそうですね。
もう1枚入手したライフ盤の方はあまりターラブぽくなく、ムラユ・デリそのもののサウンドでした。

こういうのを聴くと、ヌル・アイヌンなどの50~60年代のムラユも猛烈に聴きたくなります。
この時代のムラユ・デリを掘り出したら、いくらでもすごいアルバムが作れると思うんですけれど、
どこかのレコード会社でやってくれないものでしょうか。

Orkes Nur El Surayya Medan "ORKES NUR EL SURAYYA MEDAN" Intan INCD4109
Orkes El Surayya Medan "ANAK DURHAKA" Life WCD0180
コメント(2) 

コメント 2

サユール

初めまして。いつも興味深く拝見しております。

いつも初めて聞くような話や音源ばかりで感心するばかりでしたが、今回は僕も知っているものだったので思わずコメントしてしまいました。

とはいえ僕の持っているのはライフの廉価レーベルのHUP HUPというところのマレーシア盤カセットですが、内容は上記LIFE盤と同じだと思います。

当時はインドネシア音楽といえばまだダンドゥットやスンダ、ジャワといったものしか知らなかったので、1曲目のSelimut Putihの弦がタップリはいってリズムはワルツという音にはびっくりしました。以来ずっと気になっていたグループですがこれ以来このグループの音には出会っていません。
インタン盤の存在は知りませんでした。ぜひ聞いてみたいですね。


それと私事ながら、かつて1日中かかって歩き回って散策したこともあるパダンの街の今回の惨状には心が痛みます。1日も早い復興を祈らずにはいられません。
by サユール (2009-10-02 18:52) 

bunboni

こちらこそ、はじめまして。
私もリトル・ジョー・イ・ラ・ファミリアの記事や「ライトニン・スペシャル」など、
楽しく読ませていただいていました。
どうぞごひいきに。
by bunboni (2009-10-02 20:00) 

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