ナポリの情念 テレーザ・デ・シオ [南ヨーロッパ]
ナポリのシンガー・ソングライター(イタリア語ではカンタゥトリーチェっていうんでしたっけ)、
テレーザ・デ・シオのデビュー作。
おお、ついにCD化された!と喜び勇んで買ったら、4年も前に出てたんですね。知らんかったー。
調べてみると、ムジカノーヴァの初期作もCD化されてるじゃないですか。こりゃ、手に入れなきゃね。
テレーザのデビュー作は、南イタリアの伝統音楽をモダン化した重要グループ、
ムジカノーヴァの中心メンバー、エウジェニオ・ベンナートが音楽監督を務めています。
当時テレーザはムジカノーヴァの一員だったので、ソロ・プロジェクトとして制作されたわけですね。
その後テレーザはポップスぽい方向へ行ってしまったので、ぼくにとってはこの1枚だけの人です。
このアルバム、今聴いてもまったく古さを感じさせません。
古いどころか、アクースティックなプロダクションで伝統をモダン化する手法は、
90年代以降のワールド・ミュージックを先取りしていたともいえるんじゃないですかね。
べらんめえなナポリ弁で歌うテレーザのヴォーカルはパンチが効いていて、
一皮めくればアラブが顔を出す南イタリアの土俗性と、
モダン化したサウンドの協調ぶりが見事です。
このアルバムが出た78年は、マウロ・パガーニのソロ・デビュー作やアレアの“1978”が出るなど、
イタリア音楽にとってエポック・メイキングというか、重要な年でもありました。
その後ベンナートは「タランタ・パワー」を標榜し、タランテッラのリズムを前面に押し出し、
地中海周縁サウンドの構築に力を入れ始めるわけですが、
すでにこのアルバムでタランテッラのリズムが聞けることに、今ようやく気付きました。
Teresa De Sio "VILLANELLE POPOLARESCHE DEL ’500" Lucky Planets LKP552 (1978)
2009-12-21 06:14
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