2009年最高のサンバ タンチーニョ [ブラジル]
今年のベスト・サンバ・アルバムは、
マンゲイラ現役最高峰のヴェテラン・サンビスタ、タンチーニョの新作にキマリっ!
こういうヴェテランの芳醇なサンバの前には、
アナ・コスタやロベルタ・サーも遠くに霞むっちゅーか、比べるのも無茶な話ですね。
サンバ新世代の台頭で、サンバ・ノーヴァなぞともてはやされているようですが、
あいかわらずこういうエスコーラ系サンビスタのアルバムは、自主制作でしかリリースされない現実。
マリア・リタの“SAMBA MEU”って何万枚売れたんだっけ?(イヤミ)
とにもかくにも。やっぱりぼくは、こういうコミュニティのサンバが一番好き。
マンゲイラ・カラーの緑とピンクのシャツを着て、バラック小屋の前にたたずむジャケットは、
マンゲイラの丘で生まれ育ったタンチーニョの心意気を示していて、サンバ・ファンを泣かせます。
3年前、60歳で初のソロ・アルバムをリリースしたタンチーニョことジヴァーニ・フェレイラは、
さまざまな職業を経て、ようやくプロのサンバ歌手となったという、まさしく遅咲きの苦労人。
デビュー作“TANTINHO, MEMÓRIA EM VERDE E ROSA”は、
マンゲイラで生まれた30~60年代の未発表曲を歌った2枚組の大作で、
知られざるカルトーラの曲なども含む意欲作でした。
そして満を持してリリースされた新作は、カルトーラの次世代にあたる名サンビスタ、
パデイリーニョことオスヴァルド・ヴィタリーノ・ジ・オリヴェイラの曲集。
アフロ・ルーツ色の濃いパデイリーニョのサンバは、
マンゲイラのプシャドールを50年以上務めたジャメローンが数多く取り上げたことで知られています。
タンチーニョはカーニヴァルの練習でよくジャメローンの代理で歌っていたそうなので、
パデイリーニョのサンバも得意だったのでしょう。
7弦ギタリストのパウローンがアレンジを務めた最高の伴奏陣にのって、
コクの深い男性的なタンチーニョの声が、胸にグッと迫ります。
共同体が育んできたサンバの凝縮された美しさが、すべてここにあります。
Tantinho "TANTINHO CANTA PADEIRINHO DA MANGUEIRA" no label TMCD0109 (2009)
Tantinho "TANTINHO, MEMÓRIA EM VERDE E ROSA" Natura 118545 (2006)
2009-12-19 00:27
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