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アコーディオン、インド洋へ [インド洋]

Ile Rodrigues.JPG    Luc Tan Wee.JPG

19世紀、ヨーロッパの船乗りたちがアコーディオンを携えて海を渡り、
ヨーロッパの音楽を世界の各地に持ち込んでいくのと同時に、
その土地土地の音楽と交わって、数多くの文化混淆音楽を生み出していきました。

ルイジアナのザディコ、ドミニカのメレンゲ、ブラジルのフォロー、コロンビアのバジェナートなどは、
20世紀を跨いだ今なお、アコーディオンがそれぞれの音楽のアイデンティティとなっていますね。
アフリカに渡ったアコーディオンが生み出した音楽というと、
前回のエントリーで「カーボ・ヴェルデのザディコ」と口走ったフナナーがありますけど、
マダガスカルのサレギやインド洋のセガでもアコーディオンがよく使われています。

セガはモーリシャス、レユニオン、セーシェルと広くインド洋で親しまれている音楽ですが、
それぞれの島ごとに特徴があり、そのすべてでアコーディオンが使われるわけではありません。
もともとセガは、黒人奴隷たちが打楽器を伴奏に踊り歌っていたアフロ系音楽だったので、
アコーディオンを使うことによって、クレオール音楽へと変容していったわけです。

なかでも、アコーディオンが盛んなのがロドリゲス島。
モーリシャスの北東に浮かぶ孤島です。
この島ではアコーディオンで演奏するセガをセガ・コルデオンと呼んでいて、
ヨーロッパから伝わってきたポルカやワン・ステップ、マズルカとともに親しまれています。

ロドリゲス島でこれほどアコーディオンが盛んになったのは、
バル・コルデオン(アコーディオン・ダンスホールの意)が
島の社交場として発達したからだそうですが、
アンティーユにカドリーユが息づいているように、ヨーロッパから遠く離れた辺境の島々で、
19世紀のヨーロッパのダンス音楽が今も演奏されているのは、歴史の皮肉とも思えます。

タカンバ盤(祝!入荷)には12人のアコーディオン奏者による現地録音を収められていますが、
まるでヨーロッパのどこかの街町で、辻芸人が弾いているアコーディオンのよう。
明らかにアフリカ系とわかるビートが特徴的なセガ・コルデオンが出てこなければ、
これがインド洋の音楽とは、とても思えないでしょう。

リュック・タン・ウィーという華人系の苗字を持つアコーディオン奏者のアルバムには、
セガはほとんど登場せず、ポルカやワン・ステップが主なレパートリー。
全編、頭の先からシッポまでダンス・ミュージックが詰まったアルバムです。
写真を見る限り華人には見えない顔立ちですが、モーリシャスには客家人が渡ってきた歴史があり、
島の複雑な歴史の生き証人でもあるのでしょう。

V.A. "ILE RODRIGUES VOLUME 2. ACCORDÉON" Takamba TAKA0004 (2000)
Luc Tan Wee "REVOLUTION DE LA DANSE ET MUSIQUE TRADITIONNELLE DE L’ILE RODRIGUES" Vaf Diital Studio no number (2006)
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