スコティッシュ・ガーリックが弾む唄 ジュリー・ファウリス [ブリテン諸島]
家族みんなが待ってたスコットランドの歌姫ジュリー・ファウリスの新作。
ぼくばかりでなく、奥さんや娘二人もジュリーの大ファンなのです。
それぞれ音楽の好みは違いながらも、
全員が「大好き!」と手放しに絶賛する、数少ないシンガーのひとりです。
「天性の発声」とでも表現すればいいのでしょうか。
ジュリーのディクションは、理屈抜きに美しいと、誰もが素直に感じるものですね。
その発声が生み出すリズム感と、透明感のある歌唱は、ほんの一節を耳にしただけでも、
道行く人の足を立ち止まらせ、思わず聴き入らせてしまう力があります。
そんなジュリーの新作は、待望のライヴ・アルバム。
前々作“CUILIDH” のスペシャル・エディションのボックスに、
たった1曲、ほんのオマケ程度にライヴが収録されたことがあり、
それ以来ぜひライブ・アルバムをと願っていたのは、ぼく一人ではなかったはず。
バックを務めるメンバーは、“CUILIDH” ボックスに収録されていた、
08年2月グラスゴーでの「ケルティック・コネクションズ」のライヴの時と同じメンバーで、
ブズーキのエイモン・ドアリー、フィドルのダンカン・チザム、ギターのトニー・バーン、
バウロンのマーティン・オニールの4人。ジュリーもホイッスルで演奏に加わっています。
「ケルティック・コネクションズ」のライヴでは、この4人のほか、
カパーケリーのメンバーであるドナルド・ショーのアコーディオンと
ユアン・ヴァーナルのベースも加わっていましたが、今回この二人は不参加。
その代わり(?)といってはなんですけど、
スコットランドのヴェテラン・シンガー・ソングライター、ダギー・マクリーンがゲスト参加して、
最後に1曲ダギーの“Pabay Mòr” を二人でデュエットしています。
冒頭、司会に促されて登場するジュリーは、いきなりアカペラでステージをスタートさせます。
もしこのアルバムが編集でなければですけど、最初からアカペラってのはすごいですね。
ある程度歌ってノドの調子が上がってからでないと、アカペラは歌いにくいはず。
だからこそ、ラストやアンコールなどでアカペラは歌うことが多いんですよね。
冒頭からアカペラでいくとは、ずいぶんチャレンジングだなと思ったものの、
ジュリーは余計な緊張もみせず、リラックスして歌っているのだから、
やっぱこの人、スケール大きい。
音符がスキップしてるようなジュリーの歌唱のリズム感の良さ、
無添加100%自然の甘さがほのかに薫るジュリーの声に、
今回もただただ聴き惚れるばかりです。
そしてもちろんライヴ・アルバムだから、ジュリーのホイッスルを含む、
5人の演奏のパートがたっぷり取ってあるところも、嬉しいですね。
まるでスタジオ録音のようなスキもアラもない演奏内容で、
その完璧さゆえ、破綻やスリルといったものは味わえないものの、
聴く者をどきどきさせるテンションの高さが、ほんとハンパじゃないです。
あぁ、こんなライヴ観たいなあ。家族全員でおしかけますので、ぜひ実現を。
Julie Fowlis "LIVE AT PERTHSHIRE AMBER" Machair MACH002 (2011)
2011-02-28 06:44
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