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中国貴州省侗族の大歌 [東アジア]

中国トン族.JPG

「中国の少数民族の合唱を聴きに行くんだけど、一緒に行く?」
家人に誘われ、先週の日曜日(10月23日)、
シッポふって渋谷の國學院大學までお供させていただきました。
4年前の2007年12月にも、國學院の小川直之教授の公開講座に通っていた奥さんから、
国際シンポジウム「東アジア歌垣サミット」が行われることを教えてもらい、
連れてってもらったんですよね。
文学や民俗学といったフィールドで招聘される公演なんて、ぼくには知るすべもないので、
いつも貴重な情報を教えてくれるうちの奥さんには、感謝の限りであります。

4年前の東アジア歌垣サミットでは、秋田金澤八幡宮伝統掛唄、奄美の掛け合い歌とあわせて、
中国南西部貴州省侗(トン)族の人たちが来日して歌垣を実演してくれたんですけど、
ほんのさわりを披露してもらうだけなので、正直物足りないというより、群盲象を評す状態。
だいいち、男女が歌で愛を告白しあう歌垣という習俗を、
大学の教室で再現するという場の限界もあり、いかんともしがたいというか。

そんなわけで、珍しいものを観たなという程度の記憶しか残らなかった前回でしたが、
今回「平成23年度國學院大學文化講演会」と銘打たれた
侗族大歌公演「岩洞の歌」プログラムは、教室ではなくちゃんとしたホールで、
途中休憩も入れて3時間17演目、じっくり向き合えるという企画。
さて、どんなものやらとシートに身体を沈めていたら、
しょっぱな第1演目の女性4人が登場して歌う「春の歌」から、
その鮮やかなポリフォニーにドギモを抜かれました。
さらに5人の男性が加わって、高低音の幅の広い音域をフルに使って歌う合唱も圧巻で、
装飾的なフレーズを加える女性のハイトーンの美しさは、絶品でした。

いやー、びっくりです。
ブルガリアや台湾先住民のポリフォニーにも劣らぬこんな合唱が中国大陸に存在していたなんて、
ぜんぜん知りませんでした。
侗族の大歌の存在が近年になって知られるまでは、
中国大陸にはポリフォニーは存在しないとずっと考えられていたそうで、
2009年11月にユネスコの「無形文化遺産」に登録されたのだそうです。

男性たちが演奏する三味線と同じ形状のヘッドを持つ4弦の弦楽器の琵琶や、
笙をもっと素朴にした木管楽器、胡弓、鉦、銅鑼などにも目を奪われましたが、
なんといっても女性の高音ポリフォニーの魅力にはかないませんでした。

モノフォニーのような素朴なパートもありながら、
ヘテロフォニーぽくなる洗練された技法を感じさせる部分もあり、
ブルガリアのような高度に洗練された合唱とは違った特徴がいろいろあって、興味をそそられます。
会場で販売していたCDとDVDは、インクジェット・プリンターでレーベル面を印刷しただけの、
思いっきり海賊版くさいハンドメイドRでしたけど、
いずれきちんとしたアルバムが制作されるのを期待しましょう。

"VOICE OF NATURE : ORIGINAL MUSIC OF DONG ETHNIC GROUP"
[DVD] "美好肘光 2010 十洞款会妾題片"
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