ボスポラス海峡を渡るカモメ ミネ・ゲチェリ [西アジア]
新年を静かに迎えたのは理由があります。
下の娘が冬休みを利用して、暮れに顎の手術を受けたのです。
歯の噛み合わせを改善するための手術で、1年半前から準備してきたこととはいえ、
全身麻酔をする手術なので、家族みな緊張してその日を迎えました。
全身麻酔といえば、ぼくにとってはクララ・ヌネスの83年の医療事故が忘れられず、
顔には出さねども、正直不安でいっぱいでした。
無事手術は終わり、ホッとはしましたが、術後の矯正もあり、しばらく娘の不自由は続きます。
というわけで、我が家はクリスマスも正月行事もない年末年始となったのでした。
それにしても、次女は、去年の我が家の十大ニュースを独占しました。
暮れの大手術はトドメのようなもので、トルコ語オリンピック出場でアンカラへ行くわ、
交通事故に遭うわ、学年一位の成績を取るわと、話題てんこ盛りの一年でした。
なかでもトルコ行きは、一番の青天の霹靂というか、
引っ込み思案な次女の成長ぶりが実感できた、親として一番嬉しい出来事でしたよ。
トルコといえば、昨年はこれといった作品がないなと思っていたら、
ちょうど娘が入院準備を始める頃に、ミネ・ゲチェリの本作に出会えました。
ウード、カヌーン、ケマンチェ、チェロ、アコーディオン、ピアノ、ギターといった、
アクースティックな楽器が織り成す優美なアンサンブルを伴奏に、
トルコ大衆歌謡の巨匠ゼキ・ミュレンの作品を歌った素晴らしいアルバムです。
オリエントの洗練の粋を極めたプロダクションは、
モノクロ写真の階調の美を見るかのような繊細さにあふれ、
たゆたうエーゲ海の波のようなメロディにのせて歌う、
ミネの哀愁のこもったこぶし回しを目を瞑って聴いていると、
ボスポラス海峡を渡るカモメが瞼に浮かびます。
娘がトルコ語を習っていたトルコ人の先生に、トルコの音楽が大好きですと言ったら、
ぜひイスタンブールにいらっしゃいと誘われちゃいました。
いつか娘の案内で、トルコへ行けたらなあと思います。
Mine Geçili "GECE KİRPIKLİ KADIN" Mega Müzik 34Ü.963 (2010)
2012-01-04 00:00
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