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ベネズエラのコンテンポラリー・フォルクローレ ポマロッサ [南アメリカ]

Pomarrosa  DECIR PIEL.JPG   Pomarrosa  OTRA HISTORIA.JPG

レコード会社にもお国柄がありますね。
隣り合った国なのに、両極端なお国柄を感じさせるのが、ベネズエラとコロンビアです。
コロンビアはフエンテス・レーベルに象徴されるとおり、売らんかな精神丸出しで、
その商魂逞しさにヘキエキとさせられることもしばしば。
自国の音楽文化を高めようとか、地方の伝統音楽にスポットを当てて育てようなんてこと、
まるっきり念頭にないようなビジネス一辺倒のがめつさが、
一方でコロンビア音楽の大衆的なパワーを支えているともいえるんですけれど。

そんなコロンビアと対極なのがベネズエラで、インディ・レーベルが多いことからもわかるとおり、
本当に音楽を愛する人たちによって制作されていることがよく伝わってくる国です。
良い意味でのアマチュアリズムが発揮されているお国柄といえ、
ビゴット財団のようなベネズエラの豊かな民俗文化を伝えようとする良心的レーベルは、
まずコロンビアじゃあ考えられないでしょう。

伝統文化の保存・継承・発展に寄与するという、
アカデミックな思想のもとでアルバムを制作しているビゴット財団のカタログのなかには、
ベネズェラ各州の村々に伝承されている口承舞踏音楽を収集し再現するパサカージェや、
アフロ系ベネズエラ音楽をプレゼンテーションするバサージョス・デル・ソルなど、
多数の意欲作があります。
そんななか、モダンなセンスを生かしたポップ・アルバムも制作しているのが、
ビゴット財団のいいところ。
けっして研究家などのインテリだけを相手にしたレーベルじゃないんです。

というわけで、ぼくのお気に入りがこのポマロッサ。
ベネズエラの多彩なリズム、メレンゲ、ヴァルス、バンブーコ、
アギナルド、ガイタなどを取り入れて歌った、
2000年のデビュー作がことのほかフレッシュで、いっぺんでファンになりました。
クアトロやマンドリンの弦の生音の響きを生かしたアンサンブルにのって歌う
若い二人の女性歌手による澄みきった歌がすばらしく美しく、
ちょっとジャジーなアレンジなども取り入れながら、
洗練された新感覚フォルクローレを聞かせてくれます。

5年を経て制作されたセカンドでは、ピアノやサックス、ストリングスなども加え
ぐっとサウンドの厚みが増しましたけど、あいかわらず音楽の表情はすっきり爽やか。
サンゲオ、ガイタ・デ・フーロ、ガイタ・デ・タンボ-ルなど、
ベネズエラのリズムの奥深さをのぞかせながら、カラカスの都市を吹き抜ける風を思わせる、
伝統的であることと都会的洗練が両立した、すがすがしいアルバムです。

Pomarrosa "DECIR PIEL" Fundación Bigott FD2662001368 (2000)
Pomarrosa "OTRA HISTORIA" Fundación Bigott FD2662004358 (2005)
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