ンゴニの未来を切り開く マカン・バジェ・トゥンカラ [西アフリカ]
サリフ・ケイタやバーバ・マールと共演歴を持つほか、
アミ・コイタ、カンジャ・クヤテ、マー・ダンバなどマリのグリオ系シンガーの伴奏に
ひっぱりだこのンゴニのグリオ、マカン・バジェ・トゥンカラの新作です。
マカンはマリの偉大なジャリ(グリオのことです)ことジェリ・ババ・シソコ(1922-2001)の孫で、
父はモディボ・ケイタ大統領の命で設立されたマリ国立伝統音楽合奏団の音楽監督の一人、
モディ・トゥンカラという、生粋のグリオとして育った人。
9年前にリリースしたマカンの初ソロ作のサンク・プラネット盤は、
ンゴニの単独ソロ演奏というシブい内容でしたけれど、
グリオの伝統をしっかりと受け継ぎながらも、
若い世代らしくロックやブルースを自然に吸収したプレイが印象的で、
65年生まれという若き世代が伝統を現代に推し進めているのを、頼もしく思ったものでした。
そして2作目となる今度の新作では、マカンのンゴニを核としながらも大勢の歌手をフィーチャーし、
伴奏にもう1台のンゴニとベース役のンゴニ・バ、パーカッションが加わったアルバムとなっています。
マンデの伝統に沿った正統的な演奏を聞かせる一方で、
ブルースのギター・フレーズを借用したと思われる斬新なフレージングも随所に聞かせ、
そのどちらも無理がないところに、伝統の進化を感じさせます。
少なくともアリ・ファルカ・トゥーレが登場した時のような、
とってつけたようなブルース・ギターの不自然さは、マカンにはまったくありません。
マカン自身が歌った曲では、かなりトリッキーなンゴニの演奏も披露していますが、
音楽的な効果を十分に考えたうえ、ここぞという箇所だけでプレイしているので、
いわゆるやりすぎな印象を与えることもないですね。
曲ごと、男女さまざまな歌手のグリオらしい鍛えられたノドを楽しめるのも本作の良さです。
余計なことですけど、ライナーにはファトゥマタ・バトゥータに「マカンの妻」のクレジットがありますが、
本作でも歌っているアダマ・ジャバテがマカンの奥さんだったんじゃなかったでしたっけ???
閑話休題。マカンは、ンゴニ・バを率いるバセク・クヤテとともに、
ンゴニの未来を切り開くグリオとして注目すべき逸材であることを示した好作といえます。
Makan Badjé Tounkara "SODJAN" Buda Musique 860216 (2012)
Makan Tounkara "MAKAN TOUNKARA" Cinq Planètes CP03266 (2003)
2012-03-02 00:00
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