春爛漫のホイッスル ノーリーン・オサリヴァン [ブリテン諸島]
今年はなかなか春の陽気が続きませんね。
東京で桜が満開となった4月の第1週は、天気に恵まれたものの、
その後は爆弾低気圧なるオソろしいものがやってきたり、
ここ最近は寒の戻りがやってくるかと思えば、初夏のような暑さになったりと、
なかなか穏やかな春の気分を味あわせてくれません。
せめて音楽で春爛漫を楽しみたいと思っていたところ、
うってつけのアルバムがアイルランドから届きました。
アイルランドのホイッスルくらい心を浮き立たせ、気持ちを軽やかにしてくれる楽器はありません。
ノーリーン・オサリヴァンは、デ・ダナンを牽引してきたフィドラーのフランキー・ゲイヴィンと、
アコーディオン奏者ショーン・ゲイヴィンの妹さん。
ジェケットには、どこにでもいそうなおばさん然として写っていますが、
この飾り気のなさこそ、アイリッシュ庶民の伝統音楽にふさわしいと思えます。
ノーリーンがたたずんでいるのは、ノーリーンのお父さんが経営するパブの入口で、
ドアの上に掲げられているJ.J. CAVIN という看板がお父さんの名前だそうです。
ノーリーンは兄のショーンやフランキーとともに、
子供の頃からパブに出演するミュージシャンたちと交流を持ちながら育ったのだそうで、
まさにアイリッシュ・ミュージックが骨の髄まで染み込んでいる人なんですね。
本作は、パブの常連で父親の友人だったというフルート奏者の曲に始まり、
アイルランドの古い伝統曲をレパートリーとしています。
気持ちも晴れやかになるジグとリールに、美しいスロー・エアや、おどけたホーンパイプと、
ホイッスルの魅力を最大限に引き出した演奏揃いに、目の覚める思いがします。
ホイッスルを吹くおばちゃんといえば、メアリー・バーギンが有名ですけど、
ノーリーンの本作もこの楽器の代表作として、今後名を残すんじゃないでしょうか。
Noreen O’Sullivan "THE QUIET HOUSE" Noreen O’Sullivan no number (2012)
2012-04-25 00:00
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