在日外国人ショップめぐり その5 【中国編 發三電機商会】 [レコード屋・CDショップ]
思えば学生時分から、外国気分を味わえる街歩きが好きだったんですね。
横浜の中華街は家からちょっと遠かったんですけど、
はや高校生の頃には、ガールフレンドとのデートがてら、ちょくちょく遊びに行ってたものです。
今はもうなくなってしまいましたが、中華街の市場通りに入って2・3軒先あたりに、
「中国音曲専門店」の看板がかかった老舗のレコード店、發三電機商会がありました。
見たことも聞いたこともないレコードがずらっと並んでいる、レコード好きにはたまらないお店で、
エキゾチックなジャケットを眺めるだけでも心わくわく、時を忘れます。
小さなお店でしたけれど、香港や台湾のレコードの在庫量は随一で、
ぼくはここでサミュエル・ホイの『天才與白痴』やテレサ・テンの『淡淡幽情』を買いました。
面白かったのは、アラブのレコードも置いてあったことで、
ウム・クルスームやフェイルーズのレコードを買ったこともあります。
ただこのお店の難点は、店のオヤジがちょっと偏屈だったこと。
レコードに値段が表示されておらず、オヤジが客を見定めて値決めするんですけど、
たまに、えらくふっかけてくることがあるんです。
何回か通ううちにだんだんわかってきたんですが、
なじみでない一見の客や観光客なんかには、平気で高い値段を言ったり、
目当てのレコードを見つけたような素振りをすると、まちがいなくふっかけてましたね。
それがわかっていたので、特定のレコードを取り上げて値段を聞くようなことはせず、
この棚にあるレコードはいくら?と聞いて、あとから高いことを言われないよう、
予防線を張りながら買ったものです。
それでも失敗したことがあって、中国ロッカー、崔健の『一無所有』を探しに行った時のこと。
店の棚を探しても見つからないので、オヤジに在庫を尋ねたら、
奥から出してきて、4000円とぬかされてしまいました。
あまりのふっかけように呆れ果て、「そんじゃ、いらない」と店を出たんですが、
在庫を尋ねるなんて最大の禁じ手。大失敗と気付くも、あとの祭りでした。
結局『一無所有』は、その後新宿のヴァージンか六本木のウェイヴで買ったんだっけな。
とはいえ、このオヤジさんに感謝しなきゃいけないのは、
鄧麗君(テレサ・テン)の『淡淡幽情』を薦めてもらったこと。
香港で発売間もない頃だったので、豪華写真集付きのファースト・プレスを買えたのでした。
ずいぶん後になって、とうようさんが『淡淡幽情』を話題にした頃には、
ジャケットの文字が白抜きから黒に変わった、写真集なしの再版盤に変わってましたからね。
それまでテレサをただの歌謡曲歌手ぐらいにしか思っていなかったのを、
いかにスケールの大きな歌手であるかをぼくに教えてくれたのは、
とうようさんではなく、發三電機商会のオヤジさんなのでありました。
[LP] 許冠傑 「天才與白痴」 Polydor 322530-3 (1975)
[LP] 鄧麗君 「淡淡幽情」 Polydor 2427377 (1983)
2013-02-01 00:00
コメント(2)
テレサ・テンは、この間、英語で歌ってる曲<You don't have to say you love me>を聞いて、上手なのにビックリしました。
まあ、台湾の人は日本人よりも英語は上手ですけどね。
おぎてつ
by ogitetsu (2013-02-01 23:11)
テレサ・テンの上手さは特別ですよ。
by bunboni (2013-02-01 23:30)