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北欧のポリフォニー スデン・アイカ [北ヨーロッパ]

Suden Aika  LAITURILLA.jpg

真冬にぴったりの北欧のポリフォニー。
結成10周年を迎えるというフィンランド女性4人組のスデン・アイカの新作です。
美しいコーラスばかりでなく、逞しい地声を生かしたワイルドな歌唱を聞かせたり、
パーカッシヴなヴォイス・パフォーマンスを繰り広げたりと、
幅広いヴォーカル・ミュージックの表現を持つグループです。

新作は、コーラス・ワークの生のエネルギーを見事に封じ込めた会心作となりました。
サブ・タイトルにライヴと謳われていますが、観客を入れずに録ったもので、
彼女たちのパフォーマンスの実力の高さが示されています。

最初は美しいコーラスで始まる曲も、途中から地声が混じっていくと、
歌の表情がぐっと肉感的になっていきます。
地声どおしが激しくかけあう曲など、まるで口げんかしているみたいで、ドキドキしてしまいますね。
このなまなましさが彼女たちの魅力でしょうか。
無伴奏曲のほか、カンテレや笛などの伝統楽器を使った曲もあり、
フィンランドらしい極北のサウンドをたっぷりと味わえるところもまた魅力です。

彼女たちが歌うのは、フィンランド人の心のふるさとといわれるカレリアの伝承文化。
歌詞の多くは、カレリア地方に残っていた民話をもとに編まれた叙事詩カレワラから採られています。
スデン・アイカの立ち位置は、ポップに向かいすぎたヴァルティナを
もう一度民俗的な地平に揺り戻したところにあるのかもしれませんね。
フィンランドの古謡を煮詰め、蒸留して純化したエッセンスを、
民俗性と芸術性の両面からバランスよく表現してみせた傑作です。

Suden Aika "LAITURILLA : LIVE AT SISSOLA" Laika 3510298-2 (2013)
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