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幻のコティリオン・アルバム アーマ・トーマス [北アメリカ]

Irma Thomas  FULL TIME WOMAN.jpg

アーマ・トーマスの71・72年のお蔵入りとなっていた未発表録音が発掘!
うお~、こんなのがまだ出てくる!と即飛びついてしまいました。
アリサ・フランクリンの未発表デモが出た時は、どーっしよっかなあ、なんてぐずぐず考えて、
結局見送ってしまったのに、この違い。
ぼくのレデイ・ソウルの好みが、こんなところでバレるわけですね、はい。

「ニュー・オーリンズのソウル・クイーン」なんて愛称もあるアーマですけど、
若い頃は商業的には恵まれなかったんですね。
ぼくが一番好きな60年代のチェス録音だって、レコードとしてまとめられたのは、
90年代になってからのことだったしなあ。
このアルバムだって、なんでこれがお蔵入りになったのかというクオリティの高さなんだから、
不遇だったとしかいいようがありません。

ライナーによると、プロデューサーたちに「アーマには<それ>がない」などと言われて、
本人には何が足りないのやら訳もわからず、ずいぶんと苦汁をなめたようです。
ソウル・シーンが活況で、競争が厳しかった時代ならではのエピソードですけど、
去年の年末に観た映画『バック・コーラスの歌姫たち』で、
映画館でぼろ泣きしてしまったことをつい思い出してしまいました。

一緒に観ていた奥さんから、なんでそこまで泣くのかと呆れられちゃいましたけど、
映画に登場するシンガー一人ひとりをよく知るファンにとっては、
当時の彼女たちの状況と彼女たちが語る言葉の重み、
そして現在の姿とがオーヴァーラップして、万感に迫るものがありました。

アーマも80年代にラウンダーと契約して、再び成功することがなければ、
この幻のコティリオン・アルバムだって、ずっと世に出ないままだったかもしれないしね。
そのアーマも05年のハリケーン・カトリーナで被災し、
ニュー・オーリンズの自宅と自身が経営するクラブを失い、
そんななかで制作したアルバムがグラミー賞を受賞するなど、
波乱万丈な人生で、これまた映画になるような厚みのある人生を送っていますよね。

で、このアルバム、ほんっと、すばらしい。
アルバム・タイトルに選ばれた1曲目から、
ゴスペル色豊かな、語りかけるようなヴォーカルに惚れ惚れしました。
アルバムの中心となっているデトロイト録音8曲は名唱揃い。
ファンキーなマイアミ録音では、このギター、誰だっ!とバックにも耳ひかれます。
最後のフィラデルフィア録音が意外な相性の良さで、
典型的なフィリー・サウンドに包まれた曲でラストを締めくくったアルバム構成は、
後味をすごく良いものとしています。

Irma Thomas "FULL TIME WOMAN : THE LOST COTILLION ALBUM" Atlantic/Real Gone Music RGM0224 OPCD8818
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