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21世紀のヒューストン・ジャンプ ジュウェル・ブラウン [北アメリカ]

Bloodest Saxophone Feat. Jewel Brown.jpg

アメイジング! これは奇跡の作品です。
50年代ジャンプ・ブルースのサウンドが当時のままに飛び出す本作、
これが2014年の新緑で、しかも日本で生み出されたなんて。
もうイッパツ、シャウトしちゃいましょう! アメーーーイジンーーグ!!

十代でデュークに録音、アール・グラントとともに活動し、
60年代にはルイ・アームストロング楽団の専属歌手を務めたジュウェル・ブラウンが、
日本のジャンプ・ブルース・バンド、ブラッデスト・サクソフォンと共演したアルバム。
70年代に引退したジュウェルが、カムバックしていたことを知らなかったので、
まずは、その現役感たっぷりのハツラツとした歌いぶりに驚かされましたが、
それ以上にカンゲキしたのが、ブラッデスト・サクソフォンの演奏ぶり。

今日び、こんなにハートのこもったプレイを聞かせてくれるバンド、なかなかいませんよ。
自分たちが敬愛するジャンプ・ブルースやスウィング・ジャズを真摯に追及し続け、
研鑽を重ねてきたからこそ生み出すことのできるエネルギーが
演奏のすみずみから溢れんばかりに出ています。
「50年代ジャンプ・ブルースの再現」などというサウンドの表面をなぞったものとはレヴェルの違う、
今この時代に鳴り響く音楽として、圧倒的な説得力を持っているのはそのせいです。

「この熱い魂を伝えたいんや」([コピーライト]上田正樹)という気概が、
演奏からびんびん伝わってくるようで、嬉しくなってしまいました。
こういう音楽の感動を伝えてくれるホンモノの作品と、
いまやめったに出会えないので、なおさら感動が深まります。
モノラルで録った音も嬉しいじゃないですか。
テディ・バンみたいなフル・ボディのギター・サウンドなんて、もう泣けてきますよ。

ジャンプやスウィングの名曲の数々に加え、「買物ブギ」のカヴァーのカッコよさが悶絶。
聴く前は、スリム・ゲイラードばりのノヴェルティ趣味に仕上がっているのかと思いきや、
イロモノ臭のまったくない、真正面から取り組んだストレイトな出来栄え。
日本語歌詞を英語的なイントネーションで、スピード感いっぱいにリズムにのせてブギーする、
ジュウェルのキレっキレな歌いっぷりに、降参です。

ストーン・マーティンふうのグラフィックをあしらったジャケットも嬉しい、
それは見事な、21世紀のヒューストン・ジャンプ・アルバムです。

Bloodest Saxophone feat. Jewel Brown 「ROLLER COASTER BOOGIE」 Mr. Daddy-O FAMC161
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