ブラジリアン・コンテンポラリー・ジャズ グルーポ・シンカード [ブラジル]
また新しいブラジルのインスト・グループかと思ったら、
結成は03年という、グルーポ・シンカード。
でもまだこれが2作目で、デビュー作とはサックスがトロンボーンに変わり、
ギター、ピアノ、ベース、ドラムスのクインテット編成となっています。
インストというよりも、演奏は素直にコンテンポラリー・ジャズと呼んでいいでしょうね。
トロンボーンの柔らかな音色、しなやかなドラミング、
上品なピアノの響きが耳残りする、端正で室内楽的な演奏を聞かせてくれます。
曲により北東部のリズムの香りを漂わせたり、ピアノからアコーディオンに持ち替えたりと、
ブラジル音楽ならではの情緒をたっぷりまぶしてくれるところは、
まさしくブラジリアン・コンテンポラリー・ジャズでしょう。
レパートリーはメンバー各自が書いた曲を持ち寄っていますが、
1曲だけ、古典ショーロの代表曲である、ピシンギーニャの「ラメント」を取り上げています。
ハーモニーのアレンジは、古典的なモダン・ジャズのアプローチですけれど、
ブレイクを多用したリズム・アレンジに、モダンなセンスがうかがえますね。
スキャットを交えたワルツも、メランコリックな小品といった感じでいいなあ。
インプロビゼーションもコンポーズしたような演奏に聞こえる、
詩的な美しさをたたえたブラジリアン・コンテンポラリー・ジャズ、気に入っています。
Grupo Cincado "NOVOS RUMOS" Phalangae Produções 066.219 (2014)
2015-05-08 00:00
コメント(2)
ショーロ好きの僕としては、ピシンギーニャの「ラメント」をやっているとあっては、無視できず、YouTubeで探してみたらあってので、聴いてみました。
このショーロの名曲が完全に現代ジャズに変化していますね。なかなかいい感じです。ギタリストが左利きなのに気付きました。
by としま (2015-05-08 12:58)
「ラメント」のメロディがあまりに古風で、アルバムの中でやや浮いて聞こえもします。日本のジャズ・ミュージシャンが1928年の曲を取り上げるなんて考えられませんけど、ブラジルの若者は「古臭っ!」なぞと思わず、平気でレパートリーにするところが、ブラジル音楽の良さですね。
by bunboni (2015-05-08 23:00)