正統派アフロビートの深淵 デレ・ソシミ [西アフリカ]
おお、さすが、元エジプト80。
フェラのバンドで鍛え上げた、アフロビート正統派たるサウンドの説得力に脱帽です。
デレ・ソシミの新作。10年ぶりといわれても、前作の印象があまりに薄く、
ほとんど記憶になかったんですが、期待もせずに聴いた新作にウナらされました。
アフロビート・ブームも一巡りというか、
非アフリカ人によるバンドも百花繚乱、
本家本元のアフロビートを継承するシェウン・クティも絶好調、
もともと才能に欠けるフェミはどうでもいいので無視するとして、
デレ・ソシミがこんな深淵なアフロビートを聞かせてくれるとは、思いもよりませんでした。
デレ・ソシミは、79年から86年までフェラのエジプト80で活躍したキーボード奏者。
その後、フェミ・クティのポジティヴ・フォースの結成にかかわり、
86年から94年まで音楽監督を務めていましたが、
ポジティヴ・フォースをやめたあとは、生まれ故郷のロンドンに渡り、音楽活動をしていました。
デレはイースト・ロンドンのハックニーの生まれで、
4歳の時に両親の母国ナイジェリアに移住したんですね。
ロンドン移住後は、ナイジェリア、ポート・ハーコート出身の詩人イクウンガ・ウォノデと
アフロビート・ポエットのアルバムなどを制作していましたが、
ややフュージョンぽい洗練されたアフロビートをやる人という印象がありました。
ところが、どうです、この新作。
重厚なリズム感は、さすが正統派アフロビートといったスゴミがあります。
かつてのフュージョンぽい軽いサウンドは影をひそめ、
シェウンのエジプト80とヒケを取らない、重心の低いファットなサウンドを展開しています。
往年のサウンドそのままで、なんら新しさを加味していないコンサバぶりにも、
正統派たる説得力あるサウンドの前には、批判の声はあがらないでしょう。
それに、デレのヴォーカルもいいんですよ。
フェラのような攻撃性とは無縁の軽い歌い口なんですけど、
ぐっと深みのあるノドに味わいがあって、
いつまでたってもへなちょこ声の、アフロビートにふさわしくないフェミとは、
段違いの相性の良さをおぼえます。
Dele Sosimi "YOU NO FIT TOUCH AM" Wah Wah 45s WAHCD027 (2015)
2015-06-11 00:00
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