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天賦のバラード表現 ハ・ヴィ [東南アジア]

Ha Vy  TAM SU.jpg

アジア歌謡の最高峰といっていいでしょうね。
ハ・ヴィのなめらかな歌声、繊細なヴィブラートと無理なく回るこぶしの奥底に、
ほのかに揺れる情感は、ヴェトナム歌謡が到達した最高のバラード表現でしょう。

はじめてこの人と出会った11年作の“MẸ LÀ TÌNH YÊU” が最高傑作すぎて、
その後の13年作“KỈ NIỆM TÌNH ĐẦU” は、ジャケットがいただけないこともあって、
パスしちゃいましたけど、今回はどうかなと聴いてみたのでした。

“MẸ LÀ TÌNH YÊU” に及ばないのは、楽曲の選択というプロダクション側の問題であって、
ハ・ヴィ本人の歌いぶりは、もう天賦の才としかいいようがありません。
たとえば、ぼくがいくらレー・クエンにホレ込んでいるといっても、
努力型のレーとハ・ヴィとでは、才能の開きは歴然としていて、
ハ・ヴィはテレサ・テンに匹敵する人といって、過言ではないでしょう。

イントロや間奏にヴェトナム伝統の響きをわずかに加えるほかは、
汎アジア歌謡曲の域を超えない伴奏とプロダクションながら、
ハ・ヴィの声がそこに乗れば、たちまちに主役の声を引き立てるためにそこにあるといった、
絶妙な味わいを醸し出すのだから、主役の存在感は絶大ですよね。

今作は、明るく朗らかな演歌調の曲も多く、泣き一辺倒ではないので、
広く歌謡ファンにアピールするともいえます。
もっとも、ぼくのような抒情歌謡の哀感に溺れたい向きには物足りなくもあり、
難しいところですが、伴奏のアレンジはさらに洗練されてきたのを感じます。

ただ、これだけはダメ出ししておきたいのは、
実質アルバム・ラスト曲の11曲目(これ以降、インストのカラオケ3曲の収録あり)。
このデリカシーのかけらもない打ち込みプロダクションは、サイテーです。
EDM仕様のイントロに、なんじゃこりゃと怒り心頭になりましたよ。
ハ・ヴィの歌が始まると、途端にサウンドがふくよかになるとはいえ、
それでもこの曲は聴くに耐えません。
というわけで、10曲目までをiTunes に落として聴いております。

Hạ Vy "TÂM SỰ" Thúy Nga CD014 (2015)
コメント(2) 

コメント 2

イワタニ

bunboniさんは本当に厳しいですね。やっぱりプロの聴き手だからかな?ラスト曲をサイテーとまで言ってしまう人はたぶんいないと思いますよ?僕はこの記事を読んでたから、笑いながら聴いてしまいました。歌よりbunboniさんが腹を立ててる事を想像してしまいました。すみません。
本当にいい歌い手さんですね。何度も聴きたくなります。ラスト曲もあわせて・・・だって、笑えるから。
by イワタニ (2016-12-29 18:21) 

bunboni

聴き手に「プロ」も「アマチュア」もないですって。
あ、でも、ギャラが発生するなら、それもいいかも。誰に要求すればいいのかしらん。
「無断リンク」代をエル・スールに請求するとか!?(笑)
by bunboni (2016-12-29 20:16) 

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