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変名で出たマヴテラのハウス・バンド マッコネ・ゾンケ・バンド [南部アフリカ]

Makhona Zonke Band  THE WEBB.jpg

うわぁ、これ、CDが出てたのか!
めっちゃ嬉しい南ア盤CDを手に入れちゃいました。マッコネ・ゾンケ・バンドの76年作。
07年にCDリイシューされていたとは意外。
この当時、南アのガロは、「ジ・アーリー・イヤーズ」シリーズで、
旧いカタログを精力的にCDリイシューしていましたけれど、
本作はそのシリーズと関係なく単独CD化したものらしく、気付きませんでしたよ。

で、そのマッコネ・ゾンケ・バンド、そんなバンド、聞いたことないという人でも、
カンのいい南ア音楽ファンなら、ピンとくるんじゃないかな。
そうです。かのマッゴナ・ツォホレ・バンドの変名バンドなんですよ。

マッゴナ・ツォホレ・バンドは、マハラティーニとマホテーラ・クイーンズの
バック・バンドとして世界的に有名になりましたけれど、
もとはといえば、ガロが64年に黒人音楽部門を独立させて作った音楽会社、
マヴテラ・ミュージック・カンパニーのハウス・バンドだったのでした。
いわば、モータウンにおけるファンク・ブラザーズと同じね。

ソト語で「なんでもできるバンド」と名付けられたメンバーは、
アルト・サックスのウェスト・ンコーシ、ベースのジョゼフ・マクウェラ、
リード・ギターのマークス・マンクワネ、リズム・ギターのヴィヴィアン・ングバネ、
ドラムスのラッキー・モナマの5人。

裏方ゆえに、バンド名義のアルバムは数少なく、
64年に結成してから、67年の“LET'S MOVE WITH MAKHONA TSOHLE BAND”
の一枚があるのみで(このアルバムでは、 Maghona ではなく、 Makhona だった)、
70年代のアルバムでは、今回見つけた76年の変名バンドの名義作のほかは、
2年前にイギリスでLPリイシューされたオムニバスの体裁で出た、
70年の“MAKGONA TSOHLE REGGI” があるのみだったのです。

“MAKGONA TSOHLE REGGI” はオムニバスで、
マッゴナ・ツォホレ・バンド名義は4曲のみ。
さすが「なんでもできるバンド」で、スカやレゲエもやっていますよ。
他はマッゴナ・ツォホレのメンバーによる、ソロ・プロジェクトのバンドの曲で、
マッゴナ・ツォホレ・ファミリーのアルバムといえるかもしれません。

もっとも、67年作の“LET'S MOVE WITH MAKHONA TSOHLE BAND” でも、
曲ごとにマークス・マンクワネ&ヒズ・バンドだとか、
ジョゼフ・マクウェラ&ヒズ・コマンダーズとか書かれていて、
マッコナ・ツォホレ・バンドの名前は、アルバム・タイトルだけだったんですよね。
ここらへんは、南ア音楽業界の慣習みたいなものなんだろうなあ。

さて、今回見つけた変名バンドの76年作は、
マッゴナ・ツォホレ・バンドの5人に加え、オルガンのキッド・モンチョと、
テナー・サックスのロジャー・シェズ、アルト・サックスのティースプーン・ンデルに、
ヴォーカリスト3人が参加して制作されたアルバム。
管楽器がウェスト・ンコーシ一人でなく、
3管となったおかげで音の厚みがグッと増して、アーシーなサウンドを堪能できます。

このアルバムの1年後の77年に、マヴテラのプロデューサー、
ルパート・ボパペが脳卒中で倒れて音楽業界から引退してしまい、
マッゴナ・ツォホレ・バンドは解散してしまいました。
本作は解散直前の作品だったわけですが、
70年代のンバクァンガ・サウンドが詰まった名盤といえます。

Makgona Tsohle Band  MATHAKA.jpg   Makgona Tsohle Band  MATHAKA VOL.2.jpg

ちなみに、その後マッゴナ・ツォホレ・バンドは、
83年にテレビのミュージカル・コメディー番組出演のため再結成します。
『ポップ・アフリカ800』では、この再結成後の大ヒット作
“MATHAKA VOL.1” を選んだんですが、このアルバムは、
60~70年代のンバクァンガ黄金時代のヒット曲を再演したもので、
じっさいのテレビ番組では、放送されなかったようです。
83年11月28日に “MATHAKA VOL.1” 発売後、テレビ番組で放送された曲を
収録した “KOTOPO VOL.2” が同年12月5日に出ました。
(CDは “MATHAKA VOL.2” と改題)

この2作は、60年代とも70年代とも違う、
80年代のンバクァンガ・サウンドが楽しめるのがキモ。
マッゴナ・ツォホレ・バンド不在によって、ンバクァンガの人気が衰え、
ソウル/ディスコのバブルガム全盛となっていた時代ですけれど、
リズム・セクションがソリッドになり、リードとリズム・ギターの絡みに
ニュアンスが深まった、80年代ならではのマッゴナ・ツォホレの良さが溢れ出ています。

この2作も、ガロの「ジ・アーリー・イヤーズ」で07年にCD化していたんですが、
同じ年に70年代のマッゴナ・ツォホレを代表する本作も、CD化していたのですね。

Makhone Zonke Band "THE WEBB" Gallo CDBL73(FFN) (1976)
The Makgona Tsohle Band "MATHAKA VOL.1" Spades/Gallo CDGB71 (1983)
The Makgona Tsohle Band "MATHAKA VOL.2" Spades/Gallo CDGB72 (1983)
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